第11話『これが友達私達』
「ぼくの名前は金庫坐葉染。君が噂の美翠ちゃん?」
「あ、はいそうです。よろしくお願いします」
金庫坐さんから感じた第一印象として、普通に精神は安定していそうという事が目を引いた。
服装も男装とは言うがぶっちゃけ、みんながみんな大なり小なり個性ある恰好をしているので普通に見える。茶色の短髪に神父風のスーツを着衣して華麗にきめていて普通にカッコいい。
かなり高身長なのが特徴と言えば特徴か。
凪音さんも170㎝ぐらいあったが金庫坐さんは180㎝強ありそうだ・・・・・・。隣に並んでいる姫ちゃんの身長が140㎝もないのがその高身長を際立たせていた。
私の身長? 別に高くないぐらいとだけ言っておこう。私のスペックは基本的にそこら辺の女の子と変わらない。顔とスタイルバランスは親譲りで可愛いし美しいが、運動能力や頭脳、倫理観、価値観は月並みだし。
「顔合わせも済んだことだし、今回の作戦のおさらいをしようか。今現在煙託、ほか三名が正面を荒らしている。その隙にぼくたち3人で侵入して、滝夜ちゃんの能力で情報を抜き出し目標の子を誘拐して即帰る。僕はマーキングと攻撃。美翠ちゃんは拘束と敵の攪乱が役割だ。ここまで聞いて疑問点は?」
そう、残念なことに今回は初めての友達は別行動だ――煙託さんとの友情コンビネーション奥義、やってみたかったのだが。
「あ、あの・・・・・・姫、前出るのぉ? 聞いていた話だと後方支援と聞いてたんだけど・・・・・・」
いままで黙っていた姫ちゃんが小さな声で質問をした。・・・・・・って、初めてのゾーン外滝夜ちゃんなのではこれ。
「誰にそんなデマ流されたの? むしろ滝夜ちゃんの『
「そそそそ、そうなのぉ・・・・・!? 私棺さんに後衛で裏方しているだけでいいって言われてここに――」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
あの男やはり紳士じゃない・・・・・・・・・!
「棺さんが私を騙したの? スランプになった時凪音さんと一緒に作品用の女の子を攫ってきてあげたのに――そうだよね。姫なんてそんなことをした程度じゃ許されないよね。すみませんごめんなさいもうしませんゆるしてくださいおこらないでくださいぃ!」
「大丈夫! 大丈夫だから落ち着いて! 棺さんは仕事だったからやっただけで別に姫ちゃんに悪意はないから!」
てか、女の子を攫ったのは凪音さんと姫ちゃんなのか。この子見た目に寄らずクレイジーな動きができるらしい。
姫ちゃんは白い和服を震わせて、黙ってしまった。目に涙をにじませぶつぶつと何かを言っている。
「あーあ、ゾーン入っちゃった。こうなるとメンドいんだよな・・・・・・雑談でもしていればちゃんと治ると思うけど、一応美翠ちゃんは滝夜ちゃん監視しておいてね。仲間だから、信用しているよ?」
「仲間? それって戦友ってことですか? ていうことは私はあなたの友達ってことでいいですね?」
もう友達ができたのか!? 楽勝過ぎて話すことがないじゃないか。
「・・・・・・あーうん。そっか。そういえばキミってそんな性格だったよね・・・・・・うん。美翠ちゃんとぼくは友達だよ」
「言質とりましたからね! 任せておいてください。100%完全な監視をしておきます!」
しゃあ!友達ゲット!
後は姫ちゃんを攻略すればゲームエンド!
なぜか苦笑いをしている金庫坐さんは顔を叩き、整える。
「捕まったら死んだほうがいい。生きたいと言うのは自由だけど、死にたくなるような目に合うから」
それだけ言うと金庫坐さんは立ち上がった。
「作戦開始。成功率は100%。お父さんが見ていてくれるからね」
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