2章 友愛誘拐戦線
第10話『新展開!友愛誘拐戦線!』
誰も興味がない話題だろうが魔王軍の給料は年俸に加え成果を出せばそのたびにボーナスが出る仕組みになっている。
残業代無し、有給は年7日、土日も任務はお構いなしに来る。その代わり任務がないときは戦闘部隊は基本的にフリー。
税金を払う必要がないため給料は丸々自分のものになるが食費が通常の三倍必要の為トントン。
と言っても、安く高品質な物を取り扱う店が船内をふわふわ浮いているので実質的な給料はかなり高い。
そのかわりに魔王の血の影響で歳の取り方が尋常ではないほど遅く、毎日のように出てくる『仕事中の不幸な事故』以外で退職や辞職はない、円満退職を決して許さない不滅の肉体であることがこの高給の代償である――。
「いいじゃないか。この不況の時代に終身雇用があると言うのもめずらしいんだよ? これよりひどいブラック企業とかもそれなりにあるわけだし」
「なんでまたあなたが出るんですか。このままあなたは登場することなく私が友達百人作ってめでたしめでたしと、この物語は終わる予定だったのですけど」
なぜこの殺人鬼がまた出てきた。変態殺人鬼棺悟。幼稚園児を猟奇的な目にあわす人間は、R18Gでも生ぬるいのに、なぜこんなレーティングで出てくる。コンプラ違反ではないか。
「僕は別に保育園児でも幼女だったら芸術にするけどね」
「だからと言って猟奇性が無くなるわけではありませんが?」
「君に二つの展開を選ばせてあげようと思ってね。究極の二択というやつだよ」
分岐ルートか。きっとここで私の運命が決まる。せめていいルートを選ぼう。
友達の出来るルートを。
「聞かせてください」
「一つ、とうとう君に仕事が来た。難易度は文句なしのA級だ。金庫坐葉染、煙託一終、滝夜姫と一緒に任務を遂行してもらう」
なるほど。非常に難しそうなミッションだ。生きて帰ることができるかどうか――。しかし、煙託さんもいるし、緊迫した状況のほうが深く熱い友情を結べそうな気もする。
「もう一つは?」
「有給を使って僕の作品鑑賞会」
「一本道ですね。前者を選ばせていただきます」
私には死体になった可哀想な女の子の尊厳が踏みにじられている所を見て興奮する趣味はない。
こんな変態と違って私はノーマルだ。
「別に僕はそんなのに芸術を感じていないんだけどね・・・・・・幼女に苦しみを与えないことが僕の理念だよ」
「私はあなたが苦しんで死んでくれることを願います」
やはりこの人とは友達になれないな・・・・・・私にとって変態は鬼門だ。苦手すぎる。
「金庫坐さんってたしか私たちの部隊所属でしたよね? 彼女はどんな闇を抱えているんですか? 男装ファザコンらしいですけど」
「ナチュラルに闇を抱えていることにしないでもらおうか。魔王軍の孤児院で育った筋金入りの魔王軍だよ。魔法『
性格面にはあまり触れていない――問題があるから黙っているのか、問題がないからわざわざ触れないのか。
「どんな仕事なんですか? 今回の仕事」
「誘拐だよ。英雄省の基地から七歳の子をね」
「え」
「いろいろな重犯罪をやってもらうことになっているからよろしく。メイン任務の未成年略取だけやれるならそれだけでもいいけどね」
「・・・・・・・・・え?」
そんなこんなで新たな舞台は英雄省四国防衛基地!
友達候補の二人と七歳を誘拐!
友愛誘拐戦線編始動!
今回も友達、出来るかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます