第28話 SNSで出会った子が、実は⁉

 高校二年生の立木良太たちき/りょうたは恋人を作るのが目的だった。

 だから、以前からSNSを使って、とある子と連絡をとっていたのだ。


 良太はSNS上では、陽キャという設定になっている。


 今日は明るい雰囲気を出せるように、しっかりとした衣装に身を包み込んでいた。


 良太が街中の待ち合わせ場所で待っていると。


「ユーリさんですか?」


 その時、女の子から声をかけられた。

 ユーリというのは、アカウント名である。


 良太は彼女の方へ視線を向かわせた。

 すると、そこには想像していた以上の容姿をした女の子が佇んでおり、これは当たりだと確信した。

 彼女は可愛げのあるリボンを頭につけており、セミロングヘアな小柄な感じの子。


「えっと、ど、どっかの店にでも行きませんか?」


 良太は声を震わせながらも、彼女を近くの喫茶店へと誘う事にした。




 喫茶店には入店できたものの、それ以降が難しかった。


 学校では陰キャで、殆ど誰とも会話せずに帰宅する日もある。

 普段からできないことが、突然出来るようになるわけじゃない。


 彼女と対面するように席に座り、一人でごちゃごちゃと悩んでいると――


「私、ユーリさんには言わないといけないことがあるの」


 その言葉に、良太はドキッとした。


「私、実は、そんなに明るい性格じゃないの。今までそれを隠していて」


 彼女は自白した。

 良太は驚くように目を見開いていた。


「……ごめん」


 彼女の素直な態度を見て、良太も気づいた時には自白していたのだ。


「え?」

「俺も、本当は……明るい方ではなくて」

「そ、そうなんだ……私ね、SNSだから、自分を大きく見せたかったの」

「俺もなんだ」


 二人は目を合わせると、軽く笑い合った。

 でも、本当の気持ちを見せることができたと思う。

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