第24話 中二病な隣の席の女の子は、実は――

 ある日の放課後。

 教室には綿貫肇わたぬき/はじめと、隣の席にもう一人だけいる。

 現在、教室で、その子と二人っきりだった。


 隣の席の子はいわゆる不思議系の子。

 怪しいとかではない。

 ただの中二病的な痛い奴かもしれない。


 肇が隣の席の子を見つめていると、なぜか、丁度視線が合った。


 肇は窓の方を見るように、サッと顔を逸らした。


「私に興味がある感じ?」


 狐灯きつねあかりツヅジは席から立ち上がると、肇の方を見ながら話しかけてきた。


「別に……」

「町を救う、こんな可愛い子なんてそうそういないし、私に興味を持つのも無理ないわね」


 なんか、獣臭い気がする。

 気のせいかと、肇は首を傾げた。


「というか、町を救うって、この町は平和だし。そんな必要性はないだろ」

「必要なの! この町の結界が壊れかかってて」

「へ、へぇ、そうなんだ」


 やっぱり、ただの中二病かもしれない。


「その顔、全然信じてないね」

「そんな事はないけど」

「本当かなぁ?」


 彼女は疑いの眼差しを向けてくる。


「だったら、ここで私が町を救う力の源を教えてあげよう!」

「い、いいよ」

「そんなに遠慮しないで。君にだけだからね。これを言うの」

「逆に、そんな重要な事を言ってもいいのかよ」

「特別にね。いいから私の頭を見て」


 意味の分からないまま、肇は彼女の頭のてっぺんを見た。

 すると、ツヅジの頭上に狐の耳が生えてきたのである。


「これでわかった? これが私の力の源なの。普段はこれを隠してるんだけどね」

「え……狐?」

「そうだよ。私、こう見えて、妖怪の末裔なんだよね」


 ツツジは化け狐のように目を赤色に染めていた。


 その日。肇は彼女の本当の正体を知った瞬間だった――

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