第20話 付き合っていたクラスの美少女から、酷いフラれ方をされた俺は――

「最後に言っておくけど。最初っから、あんたの事なんて全然興味なかったし」


 学校に登校した稲葉春樹いなば/はるきは、朝のHRが始まる前の時間帯。

 学園の美少女である姫野日葵ひめの/ひまりから部活棟の空き教室に、メールで呼び出されていた。


 今後のデートの約束かと思い、嬉しい気持ちで向かったのだが、実際に彼女から放たれたのは、辛辣な言葉の数々だった。


 春樹の目の前に佇むショートヘアな日葵。彼女からの一言で、春樹の心は折れかけてしまう。


 三週間前に付き合い始め、酷い言われ方で、今日フラれてしまったのである。


 日葵はお金持ちの家庭であり、クラスの陽キャらとつるんでいることが多い。

 そんな彼女から告白された時、本当かと疑ったほどだ。


 しかし、それが今、嘘だったとわかり、ショック以上に悲しく感じる。


 胸に大きな穴が開いてしまい、その空虚感に苛まれていたのだ。


「で、でも、あの時は楽しそうにしてたはず!」


 春樹は何とか意識を取り戻しながらも、自身の意見を告げた。


「は? なわけないでしょ。アレはただの罰ゲームなの。嘘で好きって言ってただけ。あいつらとそういう話で約束してたから。そもそもね、今日であいつらからの罰ゲームから解放されるし。あんたとはもう関わるメリットもないから」


 日葵から、そんな事も察する事も出来ないの的な感じに馬鹿にされ、しまいには舌打ちまでされていた。


「ま、そういう事だから、もう二度と話しかけてこないでね」


 日葵は見下した笑みを見せた後、春樹の横を素通りして行き、空き教室から立ち去る。


 春樹は全て失ってしまった。

 彼女ができた幸せの日々から一遍、絶望の淵に落とされる事となったのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る