第17話 最近、義妹になった彼女の束縛が強すぎる⁉

「はあぁ……今日も疲れたな……」


 平日の夜。タオルを手にした新野にのはバスチェアに座り、お風呂場でため息をついていた。

 ゆっくりと生活したいが、この頃、平穏に過ごせない事情がある。


 その理由として、妹がいるからだ。

 妹といえども義妹。

 一週間前に父親が再婚し、その影響で同世代の女の子が妹になったのである。


 義妹の結愛ゆあは食事中も新野の事を気にかけ、食べさせてきたりする。

 親切なのはいいが、あまりにも親切すぎると思う。


 そして今、そんな義妹から離れ、一人でお風呂に入り、体を洗おうとしていた。

 が、その時、事件は起きた――


「新野お兄ちゃん、今から背中も洗ってあげるね♡」


 背後から明るくテンションの高い義妹の声が聞こえ、それに驚いた新野は手にしていたタオルを落としてしまう。


「……って、なんで、お前がここに⁉」

「だって、新野お兄ちゃんのためになんでもしてあげたいから!」

「だ、だ、だとしてもさ。なんでもし過ぎだって」

「そんなことないよ? 兄妹だったら普通でしょ?」


 義妹はとぼけた感じに持論を展開していた。


「いいから。自分で行うからさ」


 落としてしまったタオルを取ろうとすると、背後にいる義妹に奪われる。


「か、返せって」


 新野は振り返る。

 そこには立膝でかつ、全裸の義妹がいたのだ。


「……え、ぜ、全裸⁉」

「新野お兄ちゃん、私の裸みたんだから私の意見には従ってね!」

「こ、これは不可抗力で! そもそも全裸で入ってくるなって」


 新野は赤面したまま正面を向く。

 気まずそうに縮こまっていると、背後にいる義妹がタオルで背中を擦り始めた。


「新野お兄ちゃんは私だけのものだからね♡」


 結愛は耳元で囁く。

 義妹との緊迫した生活はまだまだ続きそうだった。

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