第16話 女子児童を助けた高校生の俺は

 平日の放課後。学校を後にした山本留依は、人通りが少ない道を歩いていた。

 曲がり角を曲がったところの道で、怪しい恰好をした男性が、ピンク色のランドセルを背負う女子児童に話しかけていたのだ。


 黒い帽子にサングラス。それから白いマスクをしている、見るからに怪しい四〇代くらいの男性。


 けど、いきなり人を疑うのは……。


 一瞬、その子の保護者か、親戚かとも思ったのだが、やはり、知り合いなら素性を隠す必要性なんてないはずだ。


 留依は様子を伺いつつも、その二人がいる場所へと近づいていく。


「すいません、その子とは知り合いですか?」


 留依は気さくな感じに話しかけた。


「は……あ、ああ、知り合いさ」

「でも、その子、困ってるようなので」


 留依は背丈の低い女子児童の姿を横目で見ながら、男性に言う。


「そ、そんなわけ、あるわけないよな!」


 男性は焦った様子で、その女子児童の肩を触りながら注意深く話しかけていた。

 その直後、その子は首を横に振る。


「この人、私知らない」


 女子児童が留依の顔を見ながら返答してきたのだ。


「やっぱり、違うんですね」


 留依は咄嗟に、その男性から女子児童を引き離す。

 すると、男性は慌てたように背を向け、走りだそうとしていた。


 留依は、その男性の右腕を掴んで引きとめる。

 昔から格闘技をやっていたのだ。

 だからこそ、ある程度の心得がある。


 男性の様子を見て、片方の手で制服からスマホを取り出し、すぐさま警察に連絡する。

 その男性は観念したように、すいませんでしたと言葉を漏らすのだった。

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