第14話 学校で一番可愛い美少女の隣の席になった俺は――

 高校二年生の月野木蒼真つきのき/そうまは放課後の今、誰もいない校舎の屋上で学校一の美少女の正体を知った。


 まさか、昔から好きだったキャラの声優が、彼女だったとは――


「ねえ、どうかな? さっきも言ったけど、私の気持ちを理解してくれるかな?」


 魅力的な容姿の彼女――白部しらべミソラの仕草や表情に、蒼真は息を飲む。


 夕日をバックに、目の前に佇む彼女の不敵な笑みを見た蒼真は、ただ頷く。


 好きなキャラに声を当てている声優と、今日の席替えで隣になるだけでも凄いのに、告白までされていた。

 運が良すぎて現実か二次元かの区別がつかなくなり、声を出せずにいたのだ。




 蒼真が好きな二次元世界の美少女は薄い赤色のロングヘア。

 音楽や歌うのが好きで、歌手としてデビューする事を目的としたキャラなのだ。


 蒼真はアニメを通じ、彼女の声を聞いた時から、人生で初めて魅力的に感じていた。


「私じゃ、ダメなのかな?」


 ミソラは、蒼真が好きなキャラと同じ声で話しかけてきてくれる。


 本当にアニメの世界にいるかのような状況に、内面から嬉しさが湧き上がるのだ。


 もし、ここで受け入れたら、彼女と付き合える……?


 だとしたら、こんなチャンス二度とないだろう。


「そろそろ、決めてくれたかな?」


 ミソラの問いかけに、蒼真は唾を呑み。

 そして――


「お、俺でいいのなら」


 と、蒼真の方から手を差し伸べた。


 ミソラは満面の笑みを浮かべ、こちらこそよろしくと言葉を漏らし、手を軽く握り返してきたのである。


 営業で行っている握手会よりも自然体で、何倍も嬉しい。


 蒼真も彼女に対し、嬉し涙を見せ、今日という日を大切にしようと心から誓うのだった。

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