第2話 苦手な隣の席の子が、俺の好きなメイドに似ている

「それで、あなたは何がいいと思ってるの?」


 清水優生しみず/ゆうせいが席に座っていると、隣の席の子が話しかけてきた。


 今は授業中。壇上前に佇んでいる担任教師から一つのお題を与えられていた。

 それは隣同士の子と、今年の文化祭の出し物を考える事だ。

 最終的には皆の意見をまとめ、このクラスとしての出し物を決めるという流れである。


「ねえ、聞いてる?」

「き、聞いてるよ……」


 中村歩夢なかむら/あゆむは可愛らしい外見をしており。茶髪のショートヘアスタイルで、優生が好きなメイドと似た雰囲気のある子なのだが、少々強気な口調が苦手だった。


「それでさ、あんたは何にするつもり?」

「て、定番なメイド喫茶とかは?」


 ボソッと言った。


「そういうの好きなの?」

「え、まあ……」

「というか、あんたって、普段から変態が好みそうな本を読んでるもんね」

「そ、それは――」


 誰にも聞かれたくない情報であり、優生は赤面してしまうのだった。


「恥ずかしいの?」


 彼女は悪気のない顔つきで、優生の顔を見つめてくる。


「でも、まあ、いいんじゃない?」

「え?」

「私は賛成ってこと。別に、メイドは嫌いじゃないし……」


 歩夢は少しだけ席から立ち上がり、優生にだけ聞こえる声で囁いてきたのだった。

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