学園系ラブコメの”ショートショート作品”集(SS作品)

第1話 学園の黒髪美少女が、俺の前で笑顔を見せてくれる

　ある平日の朝。佐野祐樹（さの/ゆうき）はいつも通りに自宅を後に通学路を歩いていた。

　高校二年に進級して一週間ほど経過したが、まだクラスには馴染めていなかった。

　そんな中、祐樹には片思いしている子がいたのである。

　進級してから同じクラスになった美少女――黒井純玲（くろい/かすみ）。

　え……？

　祐樹は驚きのあまり目を見開いた。

　丁度曲がり角から、片思いしているその子が現れたからだ。

　純玲は黒髪のロングヘアがよく似合い。髪にはつやがあり、普段から手入れされているのが伺える。

　どんな服を着ても可愛らしく、学校の中でもかなりの美少女であり、競争相手が多い子なのだ。

　急展開に動揺し、祐樹の歩幅が小さくなっていく。

　彼女と会話しながら学校に登校したいが、自分から話しかける勇気を出せず俯きがちになってしまう。

「佐野君？」

　突然、純玲から声をかけられた。

　その子が駆け足で歩み寄ってくる足音が聞こえる。

　祐樹が顔を上げると、目の前には彼女が佇んでいた。

「いつもこの時間帯なの？　一緒に行かない？」

　純玲は満面の笑みを浮かべ、天使のような真っ白な手を差し伸べてくれた。

　だからこそ、勇気を振り絞り、このチャンスを生かすためにも積極的になる事にしたのだ。