第20話 ポルサとちいと丸メガネの男

 魔物達は逃げ回った。一体は絶命ぜつめいした。2体はバラバラに走って行った。

「行くぞ。少年」戦車ミンクーが言った。

「うん!」キューも戦車ミンクーに乗った。

全速力で一体の魔物をとらえた。キューは当たるように念じた。戦車ミンクーが砲撃した。他の戦車ミンクー達の砲弾は全然当たらなかったが、キューが乗った戦車ミンクーの弾は見事ヒットした。さらに一体が絶命した。もう一体は混乱していた。ちいの剣ミンクーがちいの念力で突進していった。剣から炎を出し、残りの一体に攻撃した。魔物はうめき声を上げて、力尽きた。とどめに戦車ミンクーが大勢砲撃した。大きな爆発音がして、魔物をやっつけた。


 ちいとキューはくたくたになった。ちいは剣ミンクーを「ポルサ」と名付けた。ちいは剣ミンクーの手をとり、剣ミンクーを褒めた。

「強い子。がんばったね・・」

そこで、ちいとポルサはぱっと消えた。

「またか・・」キューはやれやれと思った。


 ちいは目を覚ますと、自分の部屋だった。となりにポルサがいる。

「ここは・・」ポルサは目を丸くした。

「あのね。ここは違う世界なの」

「本が・・いっぱい・・」ポルサは本棚から一冊の本を見つけた。「世界の兵器」を興味深く見ていた。

「それ、気に入ったの?パパの本をもらったの。それ持っていこうか」ちいはその本をかばんに入れた。

「ちょっとまっててね」ちいは下の階に降りた。ママがキッチンにいた。

「やっと起きたのね。パパのカフェ、大繁盛よ。ママもこれから応援に行くの。お昼はこれ食べてね」ママは唐揚げとおにぎりをテーブルに置いた。

「うん。人気が出て、良かったね」ちいはママを見送った。

ちいは唐揚げとおにぎりをタッパに入れて、ポルサの所へ戻った。ポルサはまだ本を見ていた。

「よっぽどそれが気に入ったのね。さあ、またミンクーの世界へ戻ろう」

タッパと本をかばんに入れて、ちいとポルサはベッドで横になった。ちいは疲れていて、すぐに眠った。


 ちいが目を覚ますと、キューが豪華な装飾の部屋で大勢に囲まれている。

「キュー。どうしたの?」ちいが聞いた。

「あ、ちいたん。ひどいんだよ。やっぱり人間はここにはいられないとか言っている。牢屋に入れるとかめちゃくちゃだよ」キューは泣きそうに言った。

「お前がちいというやつか。まだ子供だな」

とても太っている大きいミンクーが言った。

「わたし達は悪さしません。魔法でここに飛んできたんです」

「ならぬ。そいつを捕らえろ」

キューは、「風の魔法!」魔法で大勢の家来ミンクーを飛ばした。

「こ、こいつめ!」

「逃げろ!ちいたん!今のうちに!後で会おう!」キューは走って逃げた。ちいもポルサを連れて、全速力で逃げた。ドアをくぐり、またドアを。キューはどこかへ行ってしまった。ちいは鉄の重いドアを開けた。パイプがたくさんあって、寒かった。暗くて汚い。

「ここは・・工場につながっている・・」

「よし。行こう」ちいは進んだ。

パイプを伝って、暗い中を進んだ。

赤い光がもれている出口があった。そこへ行ってみた。ドアを覗くと、目玉やバラバラになった手や足がホルマリン漬けになっている。手術室のようだった。

「こわい。行こう」二人はまたパイプを伝って進んだ。

 「この先・・行ったことない・・」

とても頑丈なドアがあった。暗証番号を入力する機械があった。

「番号分かる?」ちいが聞いた。

「たしか・・この番号・・」ポルサが入力する。

「ブー」とブザー音。

「違うか・・」また入力する。

「ブー」とブザー音。

「3回間違うと、番号変わる・・もう開かなくなる」

「え~。どうしよう」ちいは困った。

「信じて・・がんばる・・」ポルサは3回目を入力した。

「ピロリン」ドアが解錠した。

「やったぁ。ポルサ、すごい!」

ドアを開けた。そこは・・

 金色の機械が置いてあり、一人の男がいた。背が高く、金色のスーツに金色の丸メガネだった。

「なんだね。君たちは」丸メガネの男が言った。

「あの・・迷ってしまって。ここはどこですか?」

「ん?何かいい匂いがするな」男が言った。

「あ・・。唐揚からあげとおにぎりがあります」

「ん?ちょっといいかい?」男はタッパを覗き込んだ。一口パクリ。

「ん~。うまい。うまいなぁ」男は驚いてムシャムシャ食べた。ちいは機械のレバーがあったのだが、動かしてしまった。ガシャンと大きな音がした。

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