第19話 アル・ハート大陸

 キューが目を覚ますと、あたりは岩だらけの大地だった。隣に手をつないだ、ちいが横たわっている。剣ミンクーもいる。剣ミンクーはびっくりした様子であたりを見ている。

「ここは・・僕のふるさと・・」と剣ミンクーは話した。ちいも目を覚ました。

「キュー!あなたまた・・」ちいが照れた。

「え!あ!また!?」

キューは人間になっていた。剣ミンクーが、

「僕のふるさと・・ずっと満月・・」

空を見ると、月が満月だった。

「へ~。ここは月が満月なの?」キューが驚いて言った。キューは手であそこを隠した。ちいは照れながら、

「ここはどこかしら?」

「剣ミンクーはふるさとと言っているよ」キューが言った。

「ふるさと・・どこかしら?」

「向こう・・町あると思う」剣ミンクーが言った。

「行ってみよう。ちいたん」

ちい達がしばらく歩くと、大きな建物が見えてきた。

「この町は私の世界に似ているわ」


 建物から一台のタイヤで動くものがやってきた。

「何か来た!戦車のよう!」タイヤと砲台があり、戦車のようだった。しかし、目や口がある。生き物にも見える。

「止まれ。お前達はどこから入った?」戦車のような生き物が聞いた。

「私達は魔法でここに来たのです」ちいはうまく説明が出来なかった。戦車は無線で連絡した。

「人は2体、剣ミンクー一体確認。そちらへ連行します」戦車は連絡が終わると、

「手錠をする。悪く思うなよ」と言い、手で手錠をちいとキューにはめた。

「さあ、こっちへこい」

戦車は誘導した。そこへ馬に乗った、とても背の高い生き物が来た。

 「マックス ウェル伯爵はくしゃく。どうしましたか?」戦車は敬礼した。

「手錠をとってあげて。まだ子供です」

「は、はい!」戦車は急いでちい達の手錠をとった。

「私の所へ連れていきます。さあ、どうぞ」

馬にちいとキューを乗せた。剣ミンクーは戦車に連れられていった。もう夜になりかけていた。マックス ウェル伯爵は建物に馬を止めた。皆で建物に入った。

暖炉だんろがあり、ポカポカしていた。マックス ウェル伯爵はとても背が高く、変わった形体だった。宇宙人のようだった。

「あなた達は剣ミンクーを30体開放してくれましたね。剣ミンクー達はここに戻ってきていますよ」

「は、はい。僕らが助けました」

「ここはどこなのですか?」ちいが聞いた。

「アル・ハート大陸と言って、ミンクー達の国です。強力な魔法で、通常立ち入る事はできません」

「あの、すいません。タオルか何かをくれませんか?」キューは素っ裸だったのだ。

「おお、そうか。はい、これを」キューはタオルで隠した。

「わたし達は魔女さんの魔法でここへとんできたの」ちいが言った。

「ランヴァラールのテレポート魔法だね。相当な魔力を持った人だねぇ。さて、ここは閉ざされた国。あなた達をどうするか。国王に頼んで、元の国へ帰るか・・」

そこへ、大きな爆発音があった。建物が揺れた。

「来ましたね。気をつけて」マックス ウェル伯爵は外の様子を伺った。窓の外に大きな緑色の生き物がいた。目が6個あり、大きな口があった。建物が強く揺れていた。

「逃げましょう。早く」伯爵は外に出るように言った。外に出ると、大きな緑色の魔物が3体いた。戦車ミンクーが砲撃ほうげきしている。たくさんの剣ミンクーが戦っている。ちいの剣ミンクーが近づいた。

「お前、どこへ行っていたの?」ちいが言った。

「僕・・戦う・・」

「わかった。気をつけてね」

 ちいの剣ミンクーはぴょんと飛び、緑の魔物に突進して行った。そして、一体の魔物の6個ある目を切りつけた。魔物は口から長い舌をだし、剣ミンクーを食べようとした。剣ミンクーは舌をよけて、目を突いた。魔物は痛がり、苦しそうにした。戦車ミンクーも他の魔物を砲撃した。砲弾をあびて、だいぶ魔物はやられているが、まだ攻撃してくる。魔物は竜巻の魔法を使ってきた。戦車達は竜巻に飛ばされている。キューはいても立ってもいられなくなり、一台の戦車ミンクーに乗った。

「なにすんだ。お前」戦車ミンクーは文句を言った。

「すまん。僕が念ずるから、砲撃してくれ」

「う~ん。何か力が湧いてきた」

 戦車ミンクーはキューを乗せて、魔物に近づいた。目を剣ミンクーにやられて、混乱している魔物を、キューが念じて、戦車ミンクーは砲撃した。ピンポイントにキューも目を狙った。ガンガンと大きな音を立て、魔物の目をヒットした。目をやられて、動けなくなった。そこへ、大きなサイレンが鳴った。剣ミンクーや戦車ミンクーは素早く後退した。

「な、なんだ?」キューは乗っていた戦車ミンクーが動き出し、不安がった。

「爆撃だ!かくれろ。かくれろ」

 一瞬、あたりが静かになり、魔物達3体もキョロキョロしていた。しばらくすると、いくつもの火の玉が降ってきた。ドドンドドンと魔物に降り注ぐ。大きな音でキューはびっくりして、戦車ミンクーから降りた。戦車ミンクーは、

「向こうの海から、潜水艦せんすいかんミンクーが撃ったのさ」

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