第6話 一緒にお買い物に行きましょう

「もしもし、お母さん、うん、私。心配かけてごめんね。え、大丈夫だよ。ちょっと飲み過ぎただけ。だから迷惑かけてないよ。大丈夫だって。悪いけど、今日も泊まるからね。日曜日の夜までには帰るって。お父さんにも言っておいてね。じゃあまた電話するから」

 どうやら夏子は家に電話していたようだが、今日も泊まるって言っていたような。え?まさか今日も泊まるつもりなのか?っていうか、いいのか?出会ったばかりの一人暮らしの男の所だぞ。いくら何でも無謀ではないのか?


「おい、まさか今日も泊まるのか?」

「うん、悪いけどもう一晩、泊めてもらうね。大丈夫、ベットに寝なくてもいいからね」

 う~ん、いいのだろうか?いやまさか、もう一晩、悶々とした時間を過ごさないといけないのだろうか?

「いや、女性なんだからベットに寝てもらわないと。っていうか、まだ会ったばかりの男の所に泊まるって、マズいと思わないの?」

「大丈夫、わたし、人を見る目はしっかりしているんだから。冬馬くんは紳士的で優しい人。うん、間違いない」

 おいおい、夏子さん、ちょっとばかりチョロインすぎない?

「いや、信じてもらえるのは嬉しいけれど、いつか痛い目をみる事になるかもよ。男を舐めちゃいけないよ」

「冬馬くんは信頼できるよ。だって酔っぱらった時も手を出さなかったもの。何より、眼を見ればわかるよ。この人は嘘ついていないって」

「この死んだような眼でわかるのか?それは凄いな」

「まぁ確かに頼りなさそうな感じだけどね。私にはわかるの」

 う~ん、褒められているのか貶されているのかわからないが、どうも夏子の自分に対する好感度は結構高いように感じる。


「という事で、改めて今日もう一晩泊めてもらうね。必要なものとか、後で買い物に行こ♡」

 冬馬は今日はのんびりと過ごすつもりだったが、そうはいかなくなってしまった。まぁいいや、突然やって来たお姫様のお相手をするとしようか。


「それじゃ、洗濯を済ませるから、出かけるのはそれからだね」

「はいは~い、じゃあテレビでも見てるかな」

 何日か洗濯をしていなかったので、すっかり洗濯物が溜まってしまった。冬馬は洗濯機のセットをした後、台所の洗い物を済ませた。洗濯が終わるまでまったりとした後は、洗濯物を部屋干しする。流石に自分のパンツまで見られるのは恥ずかしいので、夏子の手伝いは遠慮してもらったのだが。


「冬馬くん、私はいつでも出かけられるよ。準備出来たら言ってね」

 夏子は髪も整えていて、いつでも出かけられそうだ。冬馬も急いで自分の準備をする。まぁ男の支度だから、それ程時間はかからないが。

「夏子、行きたい所とかある?」

「色々買いたいからね。ショッピングモールがいいかな。行ってみようよ」

 ここから電車で3駅程の距離にあるショッピングモールは、この近辺の人もよく利用する総合商業施設だ。大抵のものは揃うので、買い物には非常に便利だ。家族連れも多いので、お洒落とは程遠いものはあるが。


「それじゃ、しゅっぱ~つ♡」

 何故か知らないけれど、夏子のテンションが高かった。もしかしてまだ酒が残っている?



 ○○○○


 ここに登場するショッピングモールのイメージは、〇オンモールですね。家の近所にもありますが、大抵のものが揃うので、よく利用しています。郊外にある様な店舗ですと、かなりの規模のものも多く、初めて行ったら迷うでしょうね。

 便利なのはいいのですが、休日ともなるとかなりの人手になりますね。駐車場はかなり広いはずなのに、確保が大変だったりします。

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