詰め込まれる生クリーム(上)

生理前に精神を崩し、気圧の乱高下で体調を崩し、ストレスで精神を病み、もはや月の半分は体調を崩しているのでないかという私の生きる理由の一つが食である。

今日も生理前かストレスか、はたまたその他の理由で不調な私は三千円を握りしめスーパーにきた。しっかり精神は爆散してるので歩くのもしんどい。いつもの地元密着型個人スーパーではなく大きなスーパーにきたのには訳がある。美味しいバターの存在だ。よつばバターのパン専用に作られたバターがそれはもう美味いのだ。スーパーで一番安い99円の食パンが化けるのだ。

私はグルメを名乗るほど鋭敏な舌を持ち合わせているわけではないが、幼少期より良い物を食わせてもらったおかげかそこそこ食にはうるさい。何より厳しいのは「飽き」という存在である。作り置きができない理由はそこにある。自分が作った料理は自分の味しかしないし、すでに前日食べたものをもう一度食べたいと思えない。毎食違うものが食べたいし同じもの食べるくらいなら食べたくない。

長くはなったが、先ほど紹介した美味しいバターはそんな私が二日続けて朝ごはんに並んでも許せるものの一つだ。もちろん、それしかないからとかいう消極的な選択肢ではなくだ。

そのバターは何が違うかというと、その名の通りとにかくパンに合うのだ。パンは本来元から塩が入っているため少ししょっぱい。それを加味した塩分量で尚且つミルク感が強くパン自体を引き立てる。そしてパンもバターを引き立てる。焼いたパンにそれをのっけるだけでホテルの朝食になるのだ。今日は運良く半額のバケットがあったのでそれも購入。

そしてストレスを溶かすために忘れてはならないのは生クリームだ。ストレスは水溶性でも脂溶性でもなく生クリームで溶ける。酒には溶けない。大切なことなのでもう一度言う、酒には溶けない。本日のチョイスはロールケーキだ。せっかくならしょっぱいものも欲しいので生ハムやクリームチーズもカゴにぶち込む。値段は見ない。この面々だと欲しくなるのがウェルチだ。ワインを買っても良かったのだが下手に酒を入れると寝不足でしんどくなるこの面倒な体のためにぶどうジュースというものがある。中でもウェルチはお気に入りで氷をたっぷり入れて溶かしながら飲むのが美味しいのだ。そんなこんなでお会計は二千円弱。好き勝手買ってこの金額なら大満足だ。私は三千円分スーパーで大人買いできるだけで満足らしい。

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