第12話からくりのからくりの
ラビィは足を動かし続けていた。なにしろ歯車の床が動き続けるのだ。
「この街は24時間連動しています。歯車やネジやバネの公共物をうまく利用したりよけたりして住民は生活しています。旅人さんは慣れないと思いますが、ガイドブックをたよりに街を歩くと良いですよ。」
そう最初に泊まった宿で言われていたが、時計塔3号館に来てから、すでに二回歯車に足をとられて出ていたネジに頭をぶつけていたし、3回飛び出すバネにとばされて、もとの入り口まで飛ばされていた。そもそも3号館に来るまでにも歯車と歯車の乗り換えエレベーターが複雑で、大変だった。
「カチカチ、カツン。でジャンプだよ。音をたよりに歩くんだ。」
上から降りてきた3号館の技師のひとりらしい白衣の少年に教えられた。
そうか、とラビィは思った。音は規則的だ。ラビィは耳が良いし、瞬発力だってある。そのアドバイスをもらってからこつなんて簡単につかめた。見るとまわりにゆくゆく人たちはダンスでもするかのように移動する。ラビィは日時計のうたのもとになったんじゃないかなとチンと言う音でとびだしたバネをとびこしながら思った。そうしてやっとからくり細工師の部屋の前にたどりついた。
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