第11話日時計のロマンス
次の日の昼、ラビィは時計の街の中央部にいた。それは街の中心に広く円を幅とって、真ん中にそびえ立っていた。月を模した三角版。それに太陽がこうこうとあたって、その陰は黒々と冷たく落ちている。
日時計の整備士が言う。
「これを月と太陽の規則ダンスと呼んでいる。毎日毎日くるくると陰を落として踊ってるんだね。」
「毎日ダンスするなんて恋人同士みたいだね。」
「ああ、その通り、良い勘してる。この街じゃロマンスのうたになっているくらいさ。月の君、月の君、君を照らそうさあ手を取って、太陽のあなた、太陽のあなた、私は輝く一方陰もあるのよ。月の君、月の君、それならその陰は舞踏の陰にしてしまおう悲しいことはなにもないよ。太陽のあなた、太陽のあなた、あなたはそうやって言葉までもあたたかいから、私の心も照らされるわ。ってね。」
「ふーん、素敵だね。」
整備士もラビィもそのうたにちょっと照れくさい雰囲気になった。ラビィは次の言葉を考えてるうちに思い出して、整備士に聞いた。「ねえ、ところで整備士さんも職人さんでしょ、この街にベテランのすごいからくり細工師さんがいるって聞いたんだけれど、知らない?」
「知ってるも知ってる。時計の設計からからくり箱まで手がけるすごうで、この時計の街だって草案期から設計建築に参加していたんだからベテランもベテランだよ。今は時計塔3号館であいかわらずからくりに携わっているよ。」
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