第41話 天国と地獄の狭間の世界で
白い花畑に囲まれた草原にクロンズとヌアンテは新たな世界での生活が始まっていた。ここは天国と地獄のはざま。人間のジャッジをする役目の神様として役割を担っている。もともとは天使と悪魔のそれぞれに分かれて生活していたが、一度世界が終わって、神様として生まれ変わった。この2人はリセットされた世界で生きている。のんびりと1日が1年の感覚で生きている。
誰も来ないときはひたすら花かんむりを作っている。
「クロンズ、見て。ソフトクリームみたいなかんむりできた」
「おー。すげーな。俺は、こんなんできた。花で作った短剣だ。えいやー」
「男子はいっそ戦いごっこ好きなんだから。少なくとも神様ってポジション忘れないでよ? 攻撃すんな?」
「分かってるよ、エイヤー」
ぐさ。鋭くはないが、おじいさん神様にささる。名前はまだ知らない。
「あ、すいません」
丁寧に謝るクロンズにおじいさんはぎっとクロンズにらみつける。
「仕事さぼってるぞ。さっき、うろうろと天国じゃなく地獄に向かった人がいた」
「じいさん、本人が地獄を願ってるならいいじゃないの?」
「いやいや、本来ならばいくべきところは天国だ。地獄は悪魔になりたい人だけだ。誰がなるのよ、悪魔に」
「俺、誰と話してる? てか、俺は悪魔になりたくて地獄いったけど、なんでダメなんだよ」
「いや、決まりがあってね。この世界でも需要と供給って今、余ってるのよ。悪魔の世界ってか地獄がね。自殺する人多いじゃない? そういう人は自動的に地獄だからさ。選べるなら天国すすめてほしいわけ。人口密度が半端ないって下から言われてるからさ」
「人口密度? この世界にもあるの?」
「一応な。あるんじゃよ。面倒だけどさ」
「人口減少とか言ってる世の中でこっちは余ってるてか……変な話だ。そんなことしていいの? 調整する感じ」
「どうせ、そのうち全員がこっちの世界来るんだから均等にしとかないとこのはざまの世界がやばいことになるんだわ。しっかり仕事して」
「え? どういうこと。全員がこっち?」
「地球も寿命があるんだから。そのうち大量に送り込まれるわ。早かれ遅かれの話だね」
クロンズは顎に指を置いて考える。ヌアンテはいつまでも花かんむりを作っていた。
「ここのはざまの世界もごった返しになって、平和に過ごせなくなる。何が正しいかなんてわからないな。ジャッジさえも意味があるんだかないんだか……」
「今更なんだけど、じいさんって名前なんていうのさ」
「アイテール」
「……愛してる?」
「ふざけてるんじゃない。アイテールだ」
「……アイテールじいさん。俺らはこれからどうするんだよ」
「まぁ、とりあえず、君らの関わった男の子たちいるでしょう。その子たちが平和に過ごしてるか調査にでも行けばいいじゃね? あの子らは、夢の中での話になってるから死んではないのよ。霊体だけがこっちに来てたからさ。あの子たちはどちらも本当は自殺未遂していたからこの狭間の世界でうろうろしていたんだよね。本人たちは覚えてないと思うけど、落ち着いているといいなぁ」
クロンズとヌアンテは顔を見合わせて驚いていた。
「どうやって行けばいいんだよ。俺ら、翼持っていないし」
「ほれよ」
アイテールはふわふわのクッションのような雲を杖を使って作った。
「これに乗って様子を見て来なさい」
「うわ、おもしろそう」
「マジか。体重制限ないですよね」
「ちょっと失礼ね」
パコンと頭をたたかれるクロンズは雲の上に乗って、楽しそうにしていた。ヌアンテは体重オーバーしないことを気にしていた。
「気をつけろよ~」
手を挙げて見送った。2人は太陽の光に向かって飛んで行った。白鳥が空を行きかっていた。
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