第27話 神様に相談

 悪魔の世界と天使の世界のはざまにたくさんの小さな白い花が草原の上に咲いていた。天国でもない地獄でもない中間地点。どちらに行くか判断される花畑。そこに花のかんむりと黙々と作っているのは、白いひげをはやし、長い白い髪を伸ばした老翁の神様だった。

 丸い異次元空間の窓が開いて、ころころと転がってきたのは、コウモリの光宙とハリネズミの微宙だった。数メートルころがって、花畑のだるまになりそうだったが、ぶんぶんと顔を振って、花をよけた。


「微宙、大丈夫か?」

「う、うん」


「ほー、珍しい2人だな」


 神様はできあがった花のかんむりを頭につけて、ご機嫌だった。鼻歌を歌って光宙と微宙の近くに寄ってきた。


「ご師匠!! 大変です!! クロンズたちが」

「ヌアンテも!!」


「ん、どういうこと?」


 目が点になって、のんびり驚く神様にイラッとする2人は手ぶり身振りでこれまでのいきさつを説明した。


「……へー、そういうことも起きるのねぇ」

「ご師匠!! のんびり頬杖ついてる場合じゃないです」

 神様は、興奮している光宙に花かんむりをパッと乗せてにこにこしていた。微宙はうらやましいなというキラキラの目をしていたため、慌てて、微宙の分をせっせと準備した。小さな花かんむりを乗せられて、微宙はかなりご機嫌になった。


「師匠!! 花かんむり作ってる場合じゃないって言ってるじゃないですか!!」

 コウモリの光宙は、超音波を発生させて、同時に風が勢いよく吹く。神様の耳がガンガンと痛くなった。


「……それ、やる意味ある?」

 顔は笑みを心は怒りの神様は、わなわなとこぶしを上に移動させた。恐怖を覚えた光宙は、怖くなって、バサバサと逃げるように上に飛んだ。


「す、すいませんでした。でも、でも、一大事なんです!」


「はいはい。わかりました。今から説明します」


 神様は頬を膨らませて、ご機嫌を損ねつつ、透明ウィンドウをパッと表示させる。

 クロンズは今、天使の世界で捕まっていること、ヌアンテが今、悪魔の世界で捕まっていることを絵に現した。


「つまりこういうことでしょ」

「あ、はい。そうです。その通りです。」

 

 神様は顎髭を何度もこすって、考えた。


「今までにない事態だが……。まぁ、やってみるか。光宙は、人間世界の深谷息吹を連れてきなさい。微宙は、大沢奏多を連れてきなさい。それぞれ連れ出して、これまで覚えさせた魔法を使って、クロンズとヌアンテの救出に向かいなさい」

「ちょっと待ってください。どっちがどっちを助けに行くのですか」


「おっと詳しく説明していなかったな。悪魔の世界にヌアンテは深谷息吹と光宙がペアを組んで、天使の世界にはクロンズを助けに大沢奏多と微宙が行きなさい。それぞれ、元はその世界に住んでいる君たちだから拒絶はされないはず……。こども達の力を借りて、捕まった場所まで侵入して、助けに向かいなさい」

 息吹はブレス呼吸の力を秘めていて、奏多はノイズ音の力を秘めている。その力を活かして、助けに向かうことになった。唾をごくんと飲んで、光宙と微宙はお互いに見合わて、その場から勢いをつけて飛び立ち、それぞれの異次元空間の世界に入りこみ、こども達が待つ人間世界に飛んで行った。


「ふぅ……。平和になってほしいものだ」

  パチンと指を鳴らして、花畑から神様は姿を消した。



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