第14話 天使の階級
ーー回想
数時間前の天使の世界でのこと
青く多い茂った森に小鳥たちが
飛び立っていく。
ひつじ雲が浮かんでいた。
今日は快晴だった。
ヌナンテは、芝生の上を横になっていた。
鼻歌を歌って機嫌がいい。
天使たちの集まる階級試験の始まる前の
アフタヌーンティーを抜け出して、
ハリネズミの微宙とともに
のんびり過ごしていた。
爽やかな風に吹かれて気持ちがよかった。
微宙は、地面にアリ集団を見つけて
ぴょんぴょんと追いかけてみる。
「このアリさんたち、
どこまで行くんだろぉ。」
「ヌアンテ!ヌアンテ!!
どこにいるの?!
昇格試験サボる気なの!
ちょっとどこぉ行った!?」
アフタヌーンティー会場から
駆け出してきたのは、
ヌアンテの実の姉ナロルだった。
「ちょ、うっさい!!」
目をつぶり、寝転んだまま言う。
「はぁ!????
誰に向かって言ってるの?
何様のつもりなの、あんた。」
「あなたはお姉様。」
「あのねぇ、
言葉遊びしてるんじゃないわよ。
口を慎みなさい。
それよりも昇格試験受けなさいって
言ってるでしょう。
いつまで下位のプリンシパリティに
いる気なの?!」
「その試験受ける受けないは
私の都合でしょう。
姉ちゃんには関係ないから。」
「な!
関係ないかもしれないけど、
あんたこのままじゃ
母親からも父親からも
見捨てられるかもしれないから
かわいそうだから私がこうやって
お世話してるんじゃない。
ありがたいと思いなさいね。」
「そんなの…お節介だわ。」
「そんなんだからいつまで経っても
悪魔のクロンズくんに
バカにされるのよ。
天使にも悪魔にもなれないって!!」
「むきーーー。
姉ちゃんにそこまで言われたくないわ。
しかもクロンズは悪魔だし言いたいこと
言わせておけばいいじゃない。
むしろ、その言動!!
その言葉こそ、悪魔みたいじゃない。
そんなこと言ってたら次の試験の
ソロネなんか受からないんだからね!!」
「……。」
ナロルは、無表情で少し口角をあげた。
三つ編みに結んだ髪がくいっとあがる。
「もういいわ。
私、あなたに期待しないから。
さようなら。」
「はぁ?!
大事な妹見捨てるの?」
「見捨てる?
そんなこと一言も言ってないわ。
温かく見守るってだけ。
あなたには、私の言葉や声が聞こえて
なかったみたい。
んじゃ、私、試験あるから。
もうここには来ないからね。」
ナロルは後ろを振り返って立ち去っていく。
微宙はいつの間にか、森の中にまで続く
アリの集団にくっついて行った。
いつの間にか、周りにはだれもいない。
ヌアンテ1人になった。
寂しく寒い風が吹く。
「良いわよ。
私はなんでも1人でできるから。
平気だもん。
クロンズがいるから
なんとかなるんだから。」
結局、天使の役割を果たせていなかった。
この世界では天使の階級というものが
存在した。
上位 1位 セラフィム
天使の中で最も高位の存在。
神に最も近く、宇宙全体の調和を保つ
責任を持つ。
上位 2位 クルビム
知恵と知識の守護者。
重要な決定や指示を下し、
天使の行動を導く。
上位 3位 ソロネ
音楽と調和の象徴。
天界の秩序を音楽を通じて維持する役割を
持つ。
中位 1位 ドミニオン
天使たちの行動を監督し、指揮をとる。
中位 2位 ヴァーチャー
奇跡を起こし、人間界への影響力を持つ。
使命の遂行にあたり、力強い支援を提供。
中位 3位 パワー
防衛と保護の役割を持つ。
悪魔との戦いやネガティブモンスターから
の防衛を担当
下位 プリンシパリティ
基本的な使命を果たし、
地上の出来事を見守る。
それぞれ昇格試験を受けなければならない。
ナロルは、今、中位1位ドミニオンであり、
次の試験で上位のソロネになる予定だ。
そういうヌアンテは、
下位 プリンシパリティだった。
陰と陽のバランスを取るために
天使と悪魔はバディを組み、
人間界のモンスターを倒す。
人間界では精神的に病む人間が
多くなっている。
その中でもマイナスのネガティブな
状態が続くと人間の目には見えない
ネガティブモンスターになってしまう。
ブレスとノイズは人間であることは
間違いないが、人間離れした特殊能力を
持っていて、モンスターも暴走してしまう。
それを食い止めるのが悪魔のクロンズと
天使のヌアンテということなのだが、
この2人、通常の天使と悪魔と一味違う。
天使であるはずのヌナンテは怠け者で
悪魔であるはずのクロンズはしっかり者と
いう相反していた。
ーーー回想終了ーーー
息吹から鉄製のドロドロした
真っ黒いモンスターが巨大化して、
クロンズとヌナンテの前に
たちはばかっていた。
息吹はかがんでクロンズの腕に
しがみついていた。
混沌とした戦いが始まっていく。
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