第23話 証明終了(1)
ラッシーに視線を送ると「わふ?」と首を
急いで
本来なら一緒に座って食事を済ませる所だが――
(上位貴族がいる以上、そうもいかないか……)
面倒だとは思いつつ、俺はラッシーが引いてくれた
声には出していないが、
「うっかり、忘れていたのです! わん♪」
そんな
主人である貴族は
自由に動けないのは
(ストレスが
しかし、問題はここからである。
食事や飲み物も取ってきてもらわなければならない。
オロールは
俺もラッシーに指示を出したい所だが――
(ちょっと
子供なので仕方ないのだが、
それに戦闘能力だけなら、かなり高い。別のトラブルを起こしそうである。
そんな俺の考えを見抜いたようで、パールは腰を曲げると顔を近づけた。
まあ、ラッシーと違って、パールの場合は色々と気が付いているハズだ。
俺からは特に
(ラッシーには後で「好きなカレーをご
と伝言を頼んだ。これでラッシーも大人しくしてくれるだろう。
パールなら状況を理解しているので、
しかし、そんな彼ら――ラッシーとパール――は俺の背後に立っているため、動向については気配を察知するしかない。だが、床は分厚い
そのため、足音は聞こえない。
想像と気配で察するしかなさそうだ。
(付き合いは長いので、そう
恐らく、パールの事だ。ラッシーに耳打ちをして、指示を出すだろう。
パタパタと
その後、この場を離れる気配があった。パールが料理を取りにいってくれたのだろう。残ったラッシーが俺の
料理の形式は離れた場所にある
先程、下で見た平民たちも同じである。
ただ違うのは「貴族は自分で取りに行かない」という事だ。
いや、上位貴族が一緒でなければ――
(ラッシーたちと一緒に食事をとる予定だったのだが……)
一応、料理は食堂の外へ持ち出すことが可能なようだ。
食堂には足を運ばず、従者に料理を持ってこさせる貴族もいるらしい。
また逆に食堂へは、お菓子などを持ち込んでも問題ないようだ。
だが、誰一人として注意はしない。
周囲の反応から「魔王十氏族の家系か、校則に違反していない」と考えられる。
(経験上、こういった
俺は無視することに決めた。本来ならラッシーが「美味しそうです! わん♪」などと言って、指を
しかし、周囲は上位貴族で
正直、地方貴族の次男であるため、特に
オロールと
ただ、問題なのはオロールの
周囲に人――特に男性――が多いのは、彼女に興味がある
ある意味『スタティム家』の俺が「彼女の
(まあ、天然なんだろうな……)
目の前に座っているオロールは紅茶を飲もうとして――熱かったらしく――フーフーと冷ましている最中だ。
こういう女性の姿を見て、世の中の男性は「可愛い♡ オレが守らないと」と思ってしまうのだろうか?
彼女に声を掛けようと
『即死魔法』の使い手の機嫌は
(実際は『カレー魔法』しか使えないんだが……)
これは虫除けのお礼です――とでも言うように、
「スタティム様もどうぞ」
とエマが俺に紅茶を
だが、
(やれやれだ……)
今まではオロールに注がれていた視線なのだろうが、俺へと向けられる。
これは早めに、一緒に食事をする仲間を見付けた方が良さそうだ。
「疲れてはいないか?」
俺の問いに「ええ、お陰様で」とオロール。
「私よりも、カリオくんの方が心配です……」
大活躍でしたモノね♡ オホホホ――と
(さっきまで、そんな笑い方、してなかっただろうが……)
ここでの彼女は上位貴族だ。
地方貴族も中央の影響を受けずに、自分たちの領地を統治している。
なので一国の王のような存在なのだが「それを気に入らない」と思っているのだろうか? 差別してくる貴族も少なからず存在した。
(
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