第6話 萌と女子高生の…
走にすれば、自分とのエッチを拒否した女子高生より、好きだと言ってくれた萌に主導権をとって欲しいのだが、今の状況で自分に出来ることなど何一つないのでただ待つしかなかった。「どのくらい待つことになるんだろう」走が思案していると案外早く決着はつき、フリーズがとけ女の子がしゃべりだした。「可哀想だとは思ったけど…、こんなこと言うつもり無かったんだけど、どうしても走と一緒にいたくてつい言っちゃった。そんなこと言えるのは私が助けてあげたからなんじゃないって…。そしたら黙ったきり言い返してこなかった。だから大丈夫、お昼食べに行こう」と言って走の腕を取ってきた。その行動から明らかに萌だと確信した走は「萌が勝ったんだ良かった」と思った後、「さっきは気付かなかったけど、重さがあるってこんなにリアルなんだ。凄いエッチな気分…」と思った。走のその気持ちは萌に読まれ「お昼食べてからね、もう少し我慢してね」と言われ、気持ちを読まれた走は照れ笑いした。ファミレスで食事をし、走のアパートの部屋に戻るまで女子高生は現れず穏やかな帰り道だった。萌に言われた「お昼食べてから…」の言葉が頭から離れず、その期待から走の頭の中はエッチに満たされ続けていた。がそんな中、一つ疑問がわいた。「何歳か知らないけど、女子高生ということはエッチをしたら条例違反になるんじゃないか?いくらエッチする相手が人間じゃなく萌だと言っても体は女子高生のものだし、というより中身が神だと言っても誰も信じないだろうし、もしかしたら今頃行方不明で警察まで出動して大騒ぎになってるかも?」と考え悩んでいると萌が「何考えているの?」と聞いてきた。今までの会話から、いくら八百万の神とはいえ萌にこの問いの答え聞いても分からないと思った走は「この体の元の持ち主の名前なんていうの?」と聞いてみた。すると暫く女子高生の体がフリーズした後、萌のしゃべり方で「この子の名前聞いてみたよ。みずたまり、っていうんだって。漢字で書くとみずたはすいでんと書く水田で、まりは手でついたりする手毬の毬なんだって」と言った。そして続けて「もう萌の体なんだから、名前なんか知らなくていいんじゃない?名前知る必要ある?」と言った。走が「この女の子が近所の子で今頃行方不明者として警察が探してるかもしれないし、情報として入れておいた方がいいと思って」と答えた。萌が「そうか、そうだね。知っておくにこしたことないね。私、人間界のこと駄目だわ」と返した。走は「萌って神様なのに謙虚だよな」と思うと同時に「人見知りというほどではないにしても社交性があるとは言えない自分にしては珍しくすぐに打ち解けられた人、いや…神様、大事にしなきや」と思った。アパートの部屋の鍵を開けてドアを開け、萌に入るように促した時また萌がフリーズした。「あの女子高生入るの嫌なんだ」走が思った通り、暫く間をおいて萌のしゃべり方で「またごねたわ」と言った。「それで今度は何だったの?」と理由の想像はついたのだが念の為走が聞くと萌が「男の部屋に入りたくないんだって。だからまた、私が守った体なんだからねって言ったら、入るだけならって言ってオーケーした。でもここまで頑固だと体を許すなんてなさそう、走どうする?エッチしたいよね?」と萌が走に聞いてきた。「どうするって聞かれても…」したい気持ちでいっぱいだが、萌がOKなのは今までの会話ではっきりしていても、実際の相手となる体が女子高生なので、もし発覚した時、条例違反で警察に逮捕されるかもしれない。そうなったらサラリーマンとして、いや人として非常にまずいことになると悩む走だった。萌が追い討ちをかけるように「私が貰った体だけど警察にしたら女子高生の水田毬だもんね。どうする?」とまた繰り返し、走の顔を覗きこむようして言ってきた。「見られるとまずいことになりそうだから、とにかく中に入ろう」と走が促し部屋に入った。入ってすぐまた萌がフリーズした。女子高生から譲られたはずの萌の体の中で、二人がまた口論をしているだろうことは走にも容易に察することが出来た。「いくら今、萌の体だと言っても、あの女子高生がそんなに拒否するなら絶対無理だな」と走が思っていると、フリーズからとけた女子高生が萌のしゃべり方で走が想像もしないことを言った。「OKでたよ。もともとセックス未経験で死ぬことに抵抗があったみたい。でも処女を捧げる相手は自分好みの人がいいので、タイプじゃない走ではなく別の人って頑張ってたけど、私が譲りそうにないから折れたみたい」と言った。「そんなにモテないし当然だよな」と自身も納得したが、心の傷を感じる走だった。しかしそれ以上に重くのしかかったのは女子高生が処女だったことだ。「今時だから既に経験済みだと勝手に思い込んでいた。処女ってことは初めての相手が僕ってことか。それは嬉しいけど、体は女子高生、でも心は神様の萌、どんな反応になるんだろう?見当がつかない。痛がるのかな?」いつの間にか走の頭から条例違反のことは完全に消え、処女の女子高生の萌とエッチした時の妄想で頭の中がいっぱいになっていた。萌にはそれが見え見えだった。萌が言った。「痛がったほうがいい?でも、それより走はこの女子高生の処女の反応が見たいんじゃないの?」言われて走は「なるほどそうだな、気付かなかったな…」と心の中で思ったが、変態だと思われるのが嫌で口には出さず黙っていると、女子高生が水田毬のしゃべり方で「そんなの恥ずかしいです」と言った。すると次には萌のしゃべり方で「恥ずかしくても一度しか出来ない経験なんだから…、本当なら出来なかった経験なんだから余計なこと考えずに、素直に感じて素直に反応した方がいいと思うよ。せっかく私の力で経験出来るんだから」と言うのが聞こえた。するとまた水田毬のしゃべり方で「やっぱり恥ずかしいです」と言って黙った後少しすると「私達三人だけしかいないんですよね…、なら」と言った。走にすればもうこれは後には引けない状況になった。条例違反がどうとかはもう関係なく男として取る態度が決まった。それでも気持ちが落ち着かないまま、そして即ベッドという短絡的な行動に移れない走はソファに座り、女子高生の姿を見ないようにしながらも、頭の中はエッチで一杯になっていた。それを察したのか萌が「しよう」と誘ってきた。もう一も二も無かった。大人の男女ならシャワーを浴びてからとなるのだろうが、そのままベッドに向かった。
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