第7話 ベッドインするも…

 いかに男女の行為に疎い走と言えど、さすがにいきなり服を脱がせて即エッチということはなく、まずは女子高生姿の萌を優しく抱きしめ、キスをしようと自分の唇を近付けた。すると萌が顔をそむけた。「えっ!ひょっとして今、萌じゃなくて女子高生?」と驚いた走が女子高生を見ると「ごめん。私自身未経験なの忘れてた。いざとなると心の準備がいる。ちょっと待って」と萌のしゃべり方で言った。完全にその気になっていた走は拍子抜けして少し冷めた気分になったが、性格が優しいので「分かった。いいよ」と答えた。そして股間がふくらんでいるのを気付かれないように萌に背を向ける体制で「ちょっとトイレに行ってくる」と言ってトイレに入り落ち着かせようとしたが、若い走の股間のものはなかなか静まらなかった。「神様も人間の女の子と変わらないんだな」そんなことを考えだし、萌との朝からのやり取りを思い出しているうちにいつの間にか穏やかな状態に戻ったのでトイレを出るとドアの前に下着姿の萌が立っていた。そして「走、いいよ」と言って抱きついてきた。股間をしずめたばかりの走にとって想定外の展開だったため、走の心の再準備が間に合わず面食らっていると萌のしゃべり方で「どうしたの?したくなくなったの?」と不思議そうな顔で走の顔を見てきた。せっかく萌がその気になったのにタイミングを逸してはと思い、あわてて「もちろんOKだよ」と言うと、萌の自分を抱きしめる腕の力が強くなるのを感じた走は「ここはベッドまでお姫様抱っこで行かないと」と思った走だったがすぐ「風船みたいな時の萌ならともかく今の萌は身長が女の子の平均より大きくて体格も華奢とはいえない。自分に抱き上げられるだろうか?」体育会系とはほど遠い体力の走としては抱き上げられるか不安だったが、ここは男として意地でも抱き上げてベッドに運ばないとと思い、抱き上げた時の萌の最高の笑顔を信じて挑戦した。本気で挑んだせいなのか自分でも驚くくらいすんなり抱き上げることが出来た。萌の顔を見ると最初、驚いた表情だったがすぐに走が思った通りの満面の笑みに変わった。「こんな時大人の男はどんなセリフを言うんだろうか?」考えた走だが何も頭に浮かばず黙ったまま萌をベッドに運んだ。萌の体を静かにベッドに下ろすと萌は瞼を閉じた。表情はやや微笑んで見えた。いよいよとなると今度は走の方が緊張し始めた。それに気付いた萌が「今度は走が心の準備かな」と言って笑った。萌の笑顔で緊張がとけた走はゆっくり萌に覆いかぶさった。すると萌が「こういう時、先にシャワー浴びたりするんじゃないのかな?」と言った。言われて走は「そうだよね、処女ってことに気を取られすぎて焦ってるみたいだ、僕」と走が言いかけた時、何故か萌の表情がくもった。そして「走、ちょっと待って。またごねてるよ水田が」と言った。その気まんまんの走の本音としては「往生際が悪いな、いい加減腹をくくってくれないかな」と思いながらも「今度は何?」と聞くと、萌ではなく水田毬のしゃべり方で「男の人に裸を見せたことない。恥ずかしいです」と答えた。萌が答えると思っていた走は、思いがけない水田毬本人の生の声によって、処女の女子高生を更に強く意識させられた。すると自分は常に理性的だと思っていた走の股間があっと言う間に最高潮に達してしまっていた。「ズボンがパンパンだ見せたくない。どうしよう」と思いながら、萌ならまだしも今現在、水田毬なので股間を見せると更に厄介な事態になると思い、見られないように注意しながら「じゃあ男と女のことは置いといて、とりあえずお風呂、一人で入る?」と聞くと少し間をおいて意外な答えが返ってきた。「恥ずかしいけど…、経験しないで死ぬのも悔しいし、もう走さんに走さんが私のタイプじゃないのばれてるからはっきり言います。私好みの人だったらもっと良かったけど、急には無理なのは分かってるので妥協しました。走さんももやもやするでしょうけどよろしくお願いします」そこまではっきり言われると清々しくさえ感じる走だったが、それ以上に、こちらをまっすぐ見て、はっきりとした口調で言ってくる毬の態度のあまりの変化に走は驚いた。そんな走を横目に毬は自分から風呂の入口横の脱衣カゴに向かった。あっけにとられながら走が思わず「こちらこそよろしく」と答えていた。股間の状態からすぐにズボンを脱げないでいる走を尻目に水田毬は、まるで裸になることに抵抗がないかのようにどんどん脱ぎ出した。だがさすがに下着だけの姿になると、手が止まった。またごねるのかと思いきや今回はそれはなく、脱ぐのを再開し脱ぎ終わると扉を開け風呂場に入っていった。すぐに自分も続かないとタイミングを逸し入りにくくなると思った走がズボンを脱ぎ、そしてパンツを下ろそうとした時「あの~」と言いながら女子高生が水田毬のしゃべり方で風呂場の扉からうつむき加減に顔を出してきた。そしてそのまま走の方に視線を向けたので目一杯膨張した走のパンツの股間を見ることになった。「きゃー」と声を発して目をふさぐかと思いきや、走の股間を凝視したまま水田毬が固まった。見られた走もパンツを途中まで下げた状態で固まった。「どうしよう、このままパンツを脱ぐと…。でも今さら見せないようにしてもこれからエッチなことする訳だし…」走が躊躇していると、水田毬が走のすぐ前に移動し「見せてください」と言って正座した。少し前までの態度からの激変に、走の方が年下のように恥ずかしそうに固まりながら「ひょっとしたら萌が成りすましているのかも?」と思いだした時「私、何言ってるんだろう」と水田毬が両手で顔を隠した。「ああ良かった」と走がほっとした時、また水田毬の声で「やっぱり見たいです」と言うのが聞こえてきた。そして続けて「私、お父さんのしか見たことないし、それも小さい頃だから良く覚えてないし…。死ぬ前にちゃんと見ておきたいの」と言って覚悟を決めた顔で走の顔を見てきた。男であっても見せるのが恥ずかしい走が躊躇していると今度は萌のしゃべり方で「走、見せてあげて」と言うのが聞こえた。

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