第3章―会社発展編 第26話 薬局/病院の今後の展開に関して(スーパー/専門学校買収)②
取締役会議の日、おじいちゃんや番頭役になりつつある一郎さんから厳しい声を頂いた。
「社長、前回病院・薬局を資金援助して、さらに今回、学校やスーパーまで資金援助ではなく買取をするって聞きましたが、うちの会社の経営が放漫化していると言ってもいいのではないですか。」
「まだ会社を始めたばかりで、放漫経営とは手厳しいですね。」
僕は一郎さんに厳しい言葉を頂き、やり込められながら返事をする。
「会社を作ったばかりで不動産会社も含めて、軌道に乗っているとは言えない中、あなたがご自分で作っている会社なので、反対とは言わないが文句の一つでも言わせてほしい。伯父としてあなたの考えをここで教えてほしい。」
伯父の一郎さんは少し怒りながら適切な回答を求めた。
私は一息呼吸をして、事前に準備していた資料を元に考えを一気に説明し始めた。
「では、前回薬局と病院。今回の専門学校とスーパーに投資を進めている理由を説明します。
今回までの4案件ですが、薬局を中心に考えてます。まず薬局の全国展開を積極的に支援していきます。今あまりないスーパーと薬局が一体化したスーパードラッグを展開したいと思います。薬に関して、処方箋なしで買える市販薬も含めあまり値段で差別化がしづらい部分です。
薬などで利幅が取れる分、スーパーが強い食料品を安価に販売する事により、お客様が安い食品に釣られ来店し、薬品をついで買いをすることができます。
そのため、店舗面積を想定のドラッグ店舗より面積を20%ぐらい大きくしないといけませんが、食品売り場を追加する事によって食品を購入し、その追加買いで薬品を買う。もしくはその逆もありうる。スーパーと薬局が一体化は、今後の発展に大きく貢献すると考えてます。
薬局とスーパーの会社を合併させ、多店舗展開して薬局の店舗の人員が足りない部分をスーパーの社員で補充して、薬局の全国展開をバックアップできればと考えてます。
また2階部分に病院を置き、薬局を全国展開することにより、共に併設できる病院を設立する事ができるのではないかと思っています。大型病院を買ったことによって、医師独立システムを作成し制度化する事によって、ラーメン店などで行われている仕組みと同様なものを病院でもフランチャイズ化できるのではないかと考えてます。
病院での独立開業医は土地代・建物代含めると開始時の初期投資費用には1億円以上かかると言われています。親からの2代目、3代目じゃない限り厳しい専門職となりつつあります。薬局の2階の独立制度の病院システムには、場所の決定権はないものの初期投資費用を大きく軽減する事ができる。また薬局にとっても1階店舗内に調剤薬局※を併設する事によって、2階の病院と1階の薬局お互いにwinwinの関係が確立できると考えています。
病院のコンビニ化とまではいかないまでも、かなりの多くの独立開業医が必要になり、大型病院にとっても独立制度を応援する職場・医師にとっても魅力ある独立制度・薬局にとっても来客の目的が増えるという関係になると思う。
薬局の全国展開する事によって、2階の病院・1階の薬局の従業員を専門学校から必要な人員が補充できればと考えています。費用と人の面が追い付けるかは今後の課題ですが、如何ですか?」
「スーパーとドラッグと病院を纏めて全国展開か。たしかに効率的だが、どこもやってない運営だな。目の付け所はいいが、調剤薬局に必要な薬剤師は、専門学校では資格取れないぞ。」
みんなが静かに聞いていたが、私からの意見が終わった所で一郎さんが私に問いかけてきた。
「ぇ!!、本当ですか。専門学校で資格を取れないのは知らなかったです。あかんやん。・・・知識不足ですみません。まぁ、専門学校では看護科でも作って病院の看護師さんの補充を優先しよう。薬剤師に関しては別途考える必要がありますね。」
ここで勉強不足というか、勝手な思い込みによる知識不足が露呈して狼狽えたが、方向性は間違ってないと感じている。普段使ったことない偽物関西弁まででるし。
「私の大学は、薬学部があるので会社紹介やらインターンシップなど大学に話を持っていけば、すぐではないがある程度人員補充ができると思う。大学側も地元の会社として包括連携協定を結ぶのは、可能と思いますので薬剤師の人員不足が解消できるでは?」
ここで、今回初登場の自分の通っていた?大学から招聘した笹川教授が発言をしてくれた。
「いいアイデアですね。笹川教授には薬学部で話ができそうな方を紹介して頂けますか。薬局の方にも窓口を作るように伝えておきます。」
完全に忘れていたが、私の大学って薬学部あったな。念のため休学中って笹川教授に伝えておかねばいかん。
「了解。ちょっと調べておく。」
みんなからは、薬局の今後の展開に肯定的な意見と必要な意見が飛び出した。
「調剤薬局の広さも最低限の面積が決まっているから、1階の薬局内に設置する面積をさらに広くしないといけないぞ。」
「なら1階が広くなる分、2階の病院の広さを少し狭めて、空いたスペースの2階に駐車場を作り、2階に上れるようにしましょうか。」
「簡単に言うが、当初の予定の店舗を一か所作るのに薬局単独出店と比べて、コミコミプランだと1.5倍ぐらいの初期費用になってくるぞ。」
コミコミプランというよくわからん表現も加わったが、自分もみんなの意見を集約しながら、賛成の方向に持っていこうとした。
「そこは仕方ないですね。資金面の援助によって、全国展開してもらうので、できるだけ薬局や2階の病院に負担にならないように建物は弊社の持ち物にして、管理は弊社で受け持ちながら進めていきましょう。」
「「スーパードラッグ」で商標登録をしませんか。他の会社が同様な商標を使えないようにしましょう。そちら方面に詳しい知り合いの弁護士にでも聞いてみるよ。」
笹川教授が聞きなれない商標登録という言葉を出してきた。
同じような内容で神〇物産は、「業務スーパー」も商標登録がされており、同業他社は「業務用スーパー」とうたっている。同様にヤ〇ト運輸が「宅急便」とすぐに届けるような言葉になっているが、他社は「宅配便」など一つの言葉を一般の方が広く使われる前に商標登録して他社に使われないようにすることも戦略としている。
話は逸れ続けるが、映画の「魔女の宅急便」なんて、原作者が「宅急便」を商標登録と知らずに使って問題になって、後日アニメ映画版は、ヤマト運輸と協賛する事によって問題が解決したと嘘か本当のような話もある。
話は取締役会議に戻るが、一郎さんが今までと違う方向の質問をしてきた。
「赤字の病院は、どうやって黒字化するんだ?」
「病院に関しては、建物の老朽化もありますので病院本部の移転を考えております。現在の場所には移転後、建て替えて駅前なので利益が出やすい美容外科と内科の2科のみを運営していくつもりです。移転先では元からあった病院と同じく内科・外科など総合病院として大病院を設立します。先ほども話しましたが、医師独立制度を謳えば、初めての試みなので全国から優秀なお医者さんの応募が来ると思います。
数年間病院に勤務すると薬局の2階の病院を「クリニック」に言い方を統一しますが、2階クリニックに独立してもらう。独立できる場所は限られるが少ない資金で独立ができるってことは、大きな利点になる。病院サイドではクリニックの全国展開ができ、仕入れを一括で行えば、安価で仕入れる事もでき、お医者さんには独立ができ、両方にメリットがあるのではと考えています。」
一郎さんは頷きながら話した。
「たしかに病院による独立支援制度はあまり聞いたことがないが、飲食業界でできるなら病院でもやってできないことはないか。」
一郎さんは引き続き、私に対して質問形式の会話が続いた。
「で、専門学校はどうするんだ?」
「はい、元々介護専門だったらしいのですが、今後は看護婦を育てる看護科と元からあった介護を社会福祉科に名前を変えて2つを中心に運営を考えてます。」
「受け皿となる先は考えているんだな。」
「看護科は弊社が保有している病院や今後展開していくクリニックでの社員として考えてます。社会福祉科は今後介護が必要となりますので就職率は悪くならないと思います。」
「まぁ、社長が考えているなら問題ないが、要注意だな。引き続き注視していくからな。」
「いつもすみませんが、よろしくお願いいたします。」
こうして各会社の買収が決まり、大きな飛躍の第一歩へと進む事となった。
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1999.3 投資会社立ち上げ
1999.3 高校卒業
1999.4 投資会社 名古屋駅前に本社移転
1999.5-7 親族や佐藤さんなど即戦力入社
1999.8 不動産会社買収
1999.9 システム部門立上 システム開発開始
1999.10 薬局/病院資本参入
1999.11 病院/専門学校買収
※調剤薬局とは、病院や診療所などの医師の診断を経て処方箋にて指示された薬を、処方箋の指示に基づいて調剤してみなさまにお薬として受け渡す薬局
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