第3章―会社発展編 第24話 薬局の2代目社長(薬局社長side)



 俺は、親が薬局屋をやっていたのでそこそこ裕福な家だった。何も考えずに親の後を継ぐものと思い、薬剤師の勉強し大学を卒業時に薬剤師の資格を取り、大手の薬局屋に就職をし、10年間仕事をした後、親の仕事を継ぐために退職した。

大学によるかもしれないが、うちの薬学部は学生の3分の1は留年する。それだけ薬剤師って大変だったんだなと思う。留年っていうのがとっても悲しい思い出である。大学はもっと楽しいと思っていたが勉強に明け暮れていた大学時代だった気がする。御多分に漏れず遊びも精いっぱいした為に留年したのはご愛敬だ。


最初は、製薬会社に入社しMRをしていた。製薬会社の仕事も一通り学び、親から戻ってこいの指示にて、転職して親の会社に入って12年、昔からいた古参の方も2代目である息子の私を温かく迎え入れてくれてうまく会社は発展する事ができた。私は他店舗展開を率先して進める事で会社の意思を統一させ県内10店舗まで広げる事ができた。零細企業から中規模企業に大きくしたのは私も一手を担ってきたと思っている。最近は、県外への展開を見備え三河に悲願の物流倉庫を建てる事ができた。


私の伯父さんとなる古参の役員さんに、物流倉庫の設計責任者を任せていたのが裏目に出てしまった。

県外出店を目指して、県外出張が頻繁になり、手が回らず伯父さんに物流倉庫を「うまくやっといてくれ」と頼んでしまったことが、今回手痛い失敗になってしまった。


県外・県内に出店地を探して、飛び回っているある日、いきなり警察が来て会社捜索が始まり一週間ぐらいまともに仕事ができなくなった。

そして収賄容疑で任意で警察官から、事情聴取のため伯父さんは警察に連れてかれた。警察に連れていかれたら、携帯も取り上げられ、連絡がつかなくなる。後日弁護士経由で話を聞いたが、物流倉庫の施工業者から金品を頂いていたらしい。まさかそこまで馬鹿な事をやるとは思わなかった。私も任意同行にて何度も警察署に足を運ぶ羽目になった。地元の新聞誌の記事にもなってしまい、薬局各店の売上が激減してしまった。



話は逸れるが以前、店舗の店長がいきなり携帯での連絡が取れなくなった時があった。ある店舗のパート社員の方から

「店長が出社してなく、店舗の鍵が開いてなくてタイムカードが押せない。」

と本社に電話がかかってきた。

たしかに私から電話をしても店長と繋がらなく諦めた。鍵を持っていたその日休み予定だった別の社員に店舗に直接行ってもらい店を開けてもらった。なんとか営業を開始する事ができたが、オープン時間に間に合わずお客様には店先で待たせてしまい、お詫びに粗品をプレゼントした事があった。

後日、判明したことだが店長が出勤前夜、酒に酔ってしまい他人の家屋に不法侵入をしてしまい警察に捕まっていた。その日から数日間、留置場で泊ったらしい。携帯没収で数日間連絡が取れなく、家の人も困っていたと聞いた。数日後、奥さんから自主退職届けが提出されていた。事件に巻き込まれなくよかったが、本人が事件を起こしてしまった困った思い出をこんな時に思い出した。



話は戻すが、刑事事件になったことにより、銀行から資金を引き揚げるという最後通告をいきなり受けてしまった。ちょうど悪夢の引き金となった物流倉庫を建てたばかりで多額の借金があった。


物流倉庫を建てる前は、過剰な設備投資でも将来的には十分ペイができると踏んで先を見備えて借金をして建てたのが今回は裏目になってしまった。


俺は慌てて様々な銀行や信用金庫に足を運び、資金探しに奔走する事となった。しかし銀行も信用金庫も最近は貸し渋りが発生しており、資金を融資してくれるような銀行は見当たらない。


そんな時に銀行から投資会社を紹介受けた。せっかく親から引き継いだ会社だから。なんとか続けたいと考えていたが、ここまで来たら投資会社から融資を受けてでも会社は続けたい。最低限経営陣の総入れ替えだけは阻止したく投資会社と交渉をしてみた。



話合いは意外とうまくいき基本、経営の方向性は投資会社と同じことが分かった。経営陣は数名送り込むものの入れ替えは発生しないし、代表権はそのまま持っていても問題ないと言われた。ただ持ち株比率は50%にしてほしいと言われた。

刑事事件によってマイナスになった社名は、AtoB薬局に変更してほしい旨は言われた。会社名を変える覚悟はしていたが自分の苗字を冠した会社が無くなるのは寂しい。しかしここまでマイナス面で地元に知られてしまった以上、会社名変更は仕方ないと思う。


投資会社がいつ手のひら返しされるかわからないので、10年間経営陣の入れ替えはしない旨の契約書を交わった上で株の半数の売却に合意した。


全国展開を考えており、その考えを投資会社も持っていた事が驚きであり、その手腕をそのまま私に託してくれるということは、資金も逆に融通する事を約束してくれたので、これを機に全国に展開する計画を前倒しする事にした。




----------------------------------------------+

1999.3  投資会社立ち上げ

1999.3  高校卒業

1999.4  投資会社 名古屋駅前に本社移転

1999.5-7 親族や佐藤さんなど即戦力入社  

1999.8  不動産会社買収  

1999.9  システム部門立上 システム開発開始

1999.10  薬局/病院資本参入

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る