第32話 生きる
日本刀を構え直す佐藤陸曹長
そして、その佐藤陸曹長と向かい合うモンマ
暫く間が開き、次の瞬間だった
「…渦潮」
モンマが右手を前に構え、呟く
すると、次の瞬間、
『ブクブク…』
佐藤陸曹長の足元の地面が
「…!」
何かを察知した佐藤陸曹長は、強化された身体能力を用いて、空中に高く跳ぶ
『バシャンッ…!』
その瞬間、
「離れていても使えるのか…
ならば、使わせないように、速さで押し切るまで
…烈火!」
佐藤陸曹長はそう言い、次の瞬間、空中から地面に居るモンマに向かって、超加速で一気に間合いを詰める
そして、佐藤陸曹長は日本刀を横一閃、振り切るのだった
『シュンッ…!』
しかし、
『キシンッ!!』
モンマは右腕で、その振り翳された日本刀を受け止める
日本刀を受け止めたモンマの右腕は、とてつもなく筋肉質で固く、日本刀の
「こいつ…
蛸のくせに、固い…!」
佐藤陸曹長は呟く
「一つ、教えといてあげます
雄の蛸というのは、縄張り争いに勝つ為、
モンマはそう言い、続けて、
「今度は、こちらの番ですね
さあ、しっかり食いしばって下さいよ…!」
と言い、空いていた左手の先を少し丸め込み、握り拳を作ったようにする
そして、次の瞬間、
「スッ…
ンッ…!」
『…ドンッ!!』
モンマはその左拳で、佐藤陸曹長の顔面を殴るのだった
『ミシミシ…!』
モンマの左拳は、佐藤陸曹長の左頬がめり込む位、深く捉える
『シュンッ!
ドンッ!
ドンッ!
ドンッ!!』
佐藤陸曹長は、後方に建ち並ぶ住宅などの建物を貫きながら、勢いよく吹き飛ばされるのだった
「陸曹長…!!」
「隊長!!」
叫ぶ部下の隊員達
『バサバサ…』
砂埃と瓦礫を被る佐藤陸曹長
「…ヴッ」
佐藤陸曹長は吐血する
『…スッ!』
空かさず駆け寄る隊長達
「陸曹長、大丈夫ですか…!?」
「隊長は一旦退いて下さい!
奴の相手は我々が…!」
部下達はそう言うのだった
「大分、レベルの高い身体強化をしているようで…
相当お強い
モンマはそう言いながら、歩み寄ってくる
「分かるのか…?」
佐藤陸曹長は問う
「そのような匂いがプンプンしているので…
まあ、鼻は無いんですがね…!」
モンマは笑いを交えながら、そう答えた
「やはり、あいつの相手は、お前達には任せられない…
奴は相当強い…!」
佐藤陸曹長はそう言うのだった
「隊長…」
「でも、陸曹長だとしても、どう相手をするのですか…?
そんな強い相手…」
部下は問う
「3本目を使用する…!」
佐藤陸曹長は、そう答えるのだった
「…!」
「!?」
その答えに、驚く表情を見せる部下達
《防衛省、対超生類部隊の司令室》
複数の大型ビジョンを眺める制服姿の自衛隊員達と、上官らしきスーツ姿の一人の女性
「こちら、α《アルファ》…
司令部に、活性剤の3本目の使用を申請する…!」
佐藤陸曹長の声で、無線が入る
「…!?
佐藤、それは許可できない…!
部下の命を、危険に晒す訳にはいかない…!」
上官らしきスーツ姿の女性は言う
「ここで奴に殺されれば、結局同じです…!
それに、このままでは部隊が全滅します…!
貴方は、
佐藤陸曹長は、強い口調で言うのだった
「…」
無言になるスーツ姿の女性
「懲罰なら、生きて必ず…」
佐藤陸曹長はそう言い、無線が切れるのだった
《再び、千葉》
「何をするつもりか分かりませんが…
そう簡単に私を倒せると思わないで下さい…!」
モンマは言う
「だとしても…
最後まで抗ってみせるさ…!」
佐藤陸曹長はそう言い、赤い液体の入った注射器を取り出すのだった
ノブリス・オブリージュ 甘味 @sweet_taste
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