第31話 再び

《千葉県、某所》

 砂煙に包まれた中で、体勢を立て直そうとするキョンの超生類ちょうせいるいと、そのキョンの超生類ちょうせいるいを見下す佐藤陸曹長


 そんな時だった

『…ペチャ

 …ペチャ

 …ペチャ』

 どこかで聞き覚えのある足音が響く

「お助けしましょうか、同胞よ…?」

 足音が聞こえ出した方向から、そう声がする

「…!」

「…?」

 キョンの超生類ちょうせいるいと、佐藤陸曹長がその声のした方向を見ると、そこに居たのは、蛸の超生類ちょうせいるいのモンマであった


「海洋生物の超生類ちょうせいるい…!?

 空は確認されていたが、海にまで派生しているのか、超生類ちょうせいるいは…!」

 佐藤陸曹長が呟く

「その必要は無い…

 例え、同胞だとしても、これは我々の戦いだ…!

 我々でけりをつける…!」

 キョンの超生類ちょうせいるいは体を起こしながら、そう言う

 しかし、

「ですが…

 あちら側は、そのつもり無いようですよ…?」

 モンマは、そう答える

 キョンの超生類ちょうせいるいが、佐藤陸曹長の方を見ると、そこには、異能を発現させ、臨戦態勢の佐藤陸曹長の姿があった

狐火きつねび…!」

 佐藤陸曹長は、無数の火球を空中に出現させ、次の瞬間、佐藤陸曹長はその火球を、モンマに向けて、放つのだった

『ボンッ!

 ボンッ!

 ボンッ!!』


 モンマに迫る無数の火球

 そして、

『ボンッ…!!』

 数多くの火球が、モンマを襲う

 白煙に包まれるモンマ

 だが、

「…?」

 何か違和感を覚える佐藤陸曹長

「蒸気…?」

 佐藤陸曹長は、そう呟いた

 モンマを包んだ白煙は、爆発による煙では無く、水蒸気であった

 そして、その水蒸気の中から、姿を現すモンマ

 姿を現したモンマは、無傷であった

「何をした…?」

 佐藤陸曹長が問う

「異能は本来、私達の専売特許ですよ…」

 モンマはそう言い、手を差し出すのだった

 すると、次の瞬間、その差し出された手に、どこからともなく水が現れ、纏わり付く

「魚心あれば水心…

 水を操るちから

 それが私…

 いや、私達、海洋生物の超生類ちょうせいるい全員が備え持つ異能です…」

 モンマは、そう言うのだった


『ボンッ、ボンッ、ボンッ!』

 モンマを襲い続ける火球

 しかし、

『パンッ、ジュッ!

 パンッ、ジュッ!

 パンッ、ジュッ!』

 モンマは、水を纏った腕で叩き、水蒸気と化して、打ち消す

「何回遣っても同じですよ…」

 火球を叩きながら、モンマはそう言う

「ならば…!」

 佐藤陸曹長は呟き、次の瞬間、

『…タッ!』

 一気に間合いを詰めようと、駆け出すのだった


 モンマの目の前に迫る佐藤陸曹長

 だが、次の瞬間、

「…引き潮」

 モンマは、そう呟いた

 すると、その瞬間、

『チャプ…

 チャプ…

 チャプチャプ…!』

 モンマの足下が波打ちだし、まるで水みたいに液状化し出す

「何をしようとしてるか知らないが…

 その足…

 いや、手か…

 その手さえ、斬り落としてしまえば、何ら問題ない…!」

 佐藤陸曹長はそう叫び、次の瞬間、日本刀を横一閃、振り抜くのだった


 しかし、

『シュンッ…!!』

 日本刀がくうを切る

「…!?」

 佐藤陸曹長は驚く

 その瞬間、モンマは、液状化した地面の中へと、沈んだのだ

『…カシンッ!』

 佐藤陸曹長は、モンマが沈んだ地面へと刀を突き刺すが、地面は元の固さに戻っているのだった


『…ブクブク』

「上げ潮…」

 佐藤陸曹長の背後の地面から、再び姿を現すモンマ

「それも、お前達の異能の一つか…?」

 佐藤陸曹長は問う

「異能の応用ではありますが…

 それ以上は企業秘密です…!」

 モンマは、そう答えた

「…ッ

 また厄介な化け物が現れたものだ…」

 佐藤陸曹長はそう言い、日本刀を構え直すのだった

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