第24話 願いの果てに

『タタタタ…

 ザンッ!

 ザンッ!

 ザンッ!!』

 戦場を駆け抜けながら、次々と超生類ちょうせいるい達を斬り裂いていく佐藤陸曹長

 だが、次の瞬間

「図に乗るなよ、人間風情が…!!」

 佐藤陸曹長の背後から、褐色の色をした毛の牛の超生類ちょうせいるいが、複数同時に殴り掛かってくる


 しかし

「…炎舞えんぶ

 佐藤陸曹長はそう呟き、一瞬で、その場で一回転した

『ザンッ!!』

 すると、炎の円が描かれ

『…カチッ』

 佐藤陸曹長が日本刀を鞘に収めた瞬間

『バサバサ…』

 一斉に、牛の超生類ちょうせいるい達の首が落ちるのだった


「…クッ」

 佐藤陸曹長を恐れ、距離を取る超生類ちょうせいるい

「逃げるか…?

 だが、逃がさないけどな…」

 そんな超生類ちょうせいるい達を見て、佐藤陸曹長は言う

 だが、次の瞬間だった

「生き残っている奴等は、逃げろ…

 態勢を立て直せ…!」

 地面に転がっていたウイングノワールが、残った腕と足だけで立ち上がろうとしながら、叫ぶ

「そんな手足のお前に、何が出来ると言う…?

 仲間が逃げるまでの時間を稼ぐつもりか…?」

 佐藤陸曹長は聞く

「…そうだと言ったら?」

 ウイングノワールは、そう答える

「その心構えには、敬意をひょうそう…

 だが、もう遅い…」

 佐藤陸曹長が、そう呟いた瞬間だった

「…!?」

『…スタッ』

 目の前から佐藤陸曹長は姿を消しており、一瞬にして背後へと回り込んでいた

『…カチッ』

 そして、刀を鞘に収める音がする

「…!」

 ウイングノワールの身体が、縦真っ二つに斬り裂かれていた

 ゆっくりと身体が分かれていく、ウイングノワール

「ポポ…

 俺もそっちに行くみたいだ…」

 ウイングノワールは心の中で、そう思う

『…ドサッ』

 地面に、完全に倒れるウイングノワール


『ザンッ!

 ザンッ!

 ザンッ、ザンッ!!』

 日本刀で、次々と超生類ちょうせいるい達を斬り裂いていく、黒い制服の隊員達

 闘い、抗おうとする超生類ちょうせいるい、はたまた、逃げようとする超生類ちょうせいるい

 だが、そんなのは関係無く、隊員達は次々と斬り倒していく


 静けさに包まれた戦場

 辺りには無数の血溜まりが広がっており、超生類ちょうせいるい達の身体や、腕、足、頭部などの肉塊が至る所に転がっていた

超生類ちょうせいるいの肉など、貴重なサンプルだ…

 一つ残らず、回収しろ…」

 佐藤陸曹長は、指示する

「…陸曹長!

 辺りの捜索、終わりました

 超生類ちょうせいるいの生き残りは、確認出来ませんでした…」

 黒い制服の男性隊員が、言うのだった

「了解した…

 お前も疲れているだろ…?

 もう休んで良いぞ…」

 佐藤陸曹長は、言う

「いえ、自分は大丈夫です…!

 それより陸曹長の方こそ、休んだ方が…

 強化剤、二本も使用しましたし…」

 男性隊員は、そう答えるのだった

「大丈夫だ、心配するな…

 超生類ちょうせいるいを抹殺するまでは、もう二度と倒れるつもりは無い…」

 佐藤陸曹長は鋭い眼差しで、そう答える


《九州居住区から少し離れた森の中》

「ハアハア…

 みんな、死んだ…

 なんなんだ、あの人間達のちからは…

 ポポ様の言葉が本当なら、裏切った同胞が居るって事か…?

 クソが…!」

『ドンッ…!』

 傷だらけの豚の超生類ちょうせいるいは呟き、拳の掌外沿しょうがいえんを木に叩き付けた

「ノワール様や、ポポ様、他の同胞達の為にも、強くならなくては…!」

 豚の超生類ちょうせいるいは鋭い眼差しで前を見て、続けてそう呟くのだった


《東京、地下施設》

 ゆっくりと瞳を開く天照大御神

「彼等が動き始めたか…

 我のちからに呑み込まれずに、我の民を守っておくれ…

 我のちからを授かりし者達よ…」

 天照大御神は、そう呟く

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