第19話 原生林の中で

《青森県と秋田県の県境、白神山地の麓》

 自然遺産にも登録された程の豊かな自然が広がるその中で、自衛隊と超生類ちょうせいるい達が、戦いを繰り広げていた

「撃て!!」

『ボンッ!

 ボンッ!

 ドオンッ!!』

 81㎜迫撃砲や、120㎜迫撃砲を立て続けに放つ自衛隊員達

 原生林に立ちのぼる数多の黒煙

 だが

『ダッ、ダッ、ダッ…!』

 原生林の林の中を何者かが、自衛隊員達に向かって、疾走して来る

 そして、次の瞬間

『ザンッ!!』

 ツキノワグマの超生類ちょうせいるいが、鉤爪で引っ掻く

 切り裂かれる自衛隊員達

「ウォォォ!!」

 更にそのツキノワグマの超生類ちょうせいるいは、もう片方の腕の鉤爪で、引っ掻き返す

『ザンッ!

 ザンッ!

 ザンッ!!』

 それを繰り返し、ツキノワグマの超生類ちょうせいるいは、自衛隊員達を次々薙ぎ倒しながら、突き進んでいく

「臆するな!

 撃て、撃て、撃て!!」

『ババババ!!』

『ボンッ!

 ボンッ!

 ドオンッ!!』

 その言葉に、自動小銃と再び迫撃砲を放つ自衛隊員達

 しかし、超生類ちょうせいるい達も抵抗するのだった


 次々と自衛隊員達に襲い掛かるツキノワグマの超生類ちょうせいるいの群れ


「ウォォォ!」

『グシンッ!』

 自衛隊員の首元に噛み付く一頭のツキノワグマの超生類ちょうせいるい

「グッ…!

 クソが…!」

 噛み付かれた自衛隊員は、その状態のまま、拳銃を取り出し、ツキノワグマの超生類ちょうせいるいのこめかみ部分に向かって押し当て、ゼロ距離で数発放つ

『パンッ、パンッ、パンッ!!』

 だが

「痛ぇな…!」

 至近距離で撃ったにも関わらず、ツキノワグマの超生類ちょうせいるいには、効いていなかった

 すると、次の瞬間、そのツキノワグマの超生類ちょうせいるいは、自衛隊員の顔面をアイアンクローのように鷲掴みし、そのまま地面へと押し倒す

『ドオンッ!』

「そんな鉛玉、効くと思うなよ、人間…!」

 ツキノワグマの超生類ちょうせいるいは、そう言うのだった


『シュン!

 シュン!

 シュン!』

 木の枝を飛び移りながら、迫って来るニホンザルの超生類ちょうせいるい

 そして、次の瞬間

『バシッ!

 バシッ!

 バシンッ!!』

 そのニホンザルの超生類ちょうせいるい達は、木の枝を棍棒のようにして、自衛隊員達を薙ぎ倒していく

「ウギィィィ!!」

 ニホンザルの超生類ちょうせいるい達は、一斉に雄叫びを上げる

「舐めるな!

 猿共が…!!」

 自衛隊員達は次の瞬間、01式軽対戦車誘導弾を肩に担ぎを、一斉に放つのだった

『ドゥンッ!

 ドゥンッ!

 ドゥンッ!』

『ボオンッ!!』

 森林の中は、爆発の黒煙に包まれる

 しかし

「ウギィィィ!!」

 黒煙の中から勢いよく、ニホンザルの超生類ちょうせいるい達は飛び出してくるのだった

「そんなもの…!

 食らうか…!!」

 ニホンザルの超生類ちょうせいるいはそう叫び、棍棒を横に振り、自衛隊員達を殴り倒した

「このままでは…」

 ある自衛隊員は、呟く

「まだ終わっていない…!

 諦めるな!」

 一人の自衛隊員がそう声を張り上げ

『ババババ!!』

 自動小銃を連射するのだった


 だが

『パシパシパシ…』

 ニホンザルの超生類ちょうせいるいは、棍棒を身体の前で、円を描くように回転させて、銃弾を弾き返す

「そんなもの、届かないぞ…!」

 とニホンザルの超生類ちょうせいるいは言う

「もうダメなのか…」

 自衛隊員達が、そう諦めかけていた時であった


『シュンッ…』

 何かが、原生林の上空を、低空飛行で飛んで来ていた

 そして、次の瞬間

『ボオンッ!!』

 原生林が、爆炎に包まれるのだった


 原生林の外の、ひらけた場所から、複数台の大型トラックが、荷台ユニットに積んだ81式短距離地対空誘導弾を放っていた

「次弾、撃て!!」

『ドゥンッ、ヒュュュ…!』

 4発あるミサイルの内の、第2弾を放つのだった


「貴様等は、この豊かな自然ごと、我々を消すつもりか…!?

 それならば、我々も覚悟を決めなければ…!!」

 ある一頭のツキノワグマの超生類ちょうせいるいは、そう言い、次の瞬間

「ウオオオ…!!」

 とてつもなく、大きな雄叫びをげた

「…!?」

「何事だ…!?」

「何が起こる…!?」

 森林の中に居た自衛隊員達は、騒然とする


《同時刻、森林の奥深く》

「…!」

 何かの生物が、その雄叫びに気付き、瞳を開くのだった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る