第17話 砂煙の中で

《アメリカ合衆国、中西部と南部の境付近》

 辺りには草原も広がり、小さな集落がポツンポツンと存在する、とある郊外の町並み

 そんな長閑な町並みに、次の瞬間

『ドゥンッ!

 ドゥンッ!

 ドゥンッ!』

 砲撃音が響き渡る

 アメリカ陸軍の戦車、M1 エイブラムスの軍勢が次々と砲撃していた

『ボオンッ!

 ボオンッ!

 ボオンッ!』

 砲弾が着弾して、砂埃が次々立つ

 しかし、次の瞬間であった

『ブフォン…!!』

 その砂埃の煙を突き破って、バイソンの超生類ちょうせいるいの群れが、迫り来る

『ドゥンッ!

 ドゥンッ!

 ドゥンッ!』

 そんな迫り来るバイソンの超生類ちょうせいるい達に、更に砲撃するアメリカ陸軍の戦車

 だが、バイソンの超生類ちょうせいるい達の勢いは止まらない

 砲弾を躱しながら、更に迫る

 そして

『ドオンッ!!』

 ある一頭のバイソンの超生類ちょうせいるいは、頭から戦車に突っ込み、頭突きを食らわす

 更に

『ボオンッ!!』

 違うある一頭のバイソンの超生類ちょうせいるいは、戦車に対して、正拳突きをするのだった


『ボオンッ!!

 ボオンッ!!』

 バイソンの超生類ちょうせいるいから攻撃を受けた戦車は、その衝撃で次々と爆発する

「押し返せ!

 野郎共!!」

 一頭のバイソンの超生類ちょうせいるいが先頭に立ち、叫ぶ

『ババババ…!』

 ライフル銃で迎え撃つアメリカ陸軍の歩兵達

 しかし

『バサッ!

 バサンッ!!』

 戦斧を持ったバイソンの超生類ちょうせいるいによって、上半身と下半身とに、真っ二つに切り裂かれるのだった


「この化け物が…!!」

『ババババ!』

 一人のアメリカ陸軍の兵士が、ライフル銃を発砲するが

『カンッ、カンッ、カンッ、カンッ…』

 戦斧を持ったバイソンの超生類ちょうせいるいは、斧を横に向けて、刃の側面で、銃弾を防ぐ

 そして、次の瞬間

『スパンッ…!!』

「…?」

 ゆっくりとそのアメリカ陸軍の兵士の視野が、斜めに傾いていく

『…ボテッ』

 横一閃、バイソンの超生類ちょうせいるいが戦斧を振り切り、兵士の首を切り落とすのだった


「ウオオオ…!!」

 戦斧を持つバイソンの超生類ちょうせいるいは、雄叫びを上げる

 その後、そのバイソンの超生類ちょうせいるいは、戦場を駆け抜ける

『スパンッ!

 バサッ!

 スパンッ!!

 バサンッ!!』

 すれ違い際に、アメリカ陸軍の兵士達を斬り付けていきながら

『ドゥンッ!!』

 再び、アメリカ陸軍の戦車、M1 エイブラムスが砲撃する

 しかし

『ザンッ!!』

 向かってくる砲弾に対して、バイソンの超生類ちょうせいるいは、下から上へと戦斧を振り上げて、砲弾を縦真っ二つに切り裂く

 二つに分かれた砲弾は、バイソンの超生類ちょうせいるいの両脇を抜けていき

『ボオンッ…!』

 背後に着弾するのだった


 そして、バイソンの超生類ちょうせいるいは、そのまま戦車に向かって飛び掛かっていき、今度は振り上げた戦斧を戦車に向かって、勢いよく叩き付ける

『ドオンッ!!』

 衝撃波が響き渡り、アメリカ陸軍の戦車、M1 エイブラムスは、左右真っ二つに裂けるのだった


 凹んだり、引き裂かれたりして、大破し、燃えて煙を上げる多くのM1 エイブラムス

 更に、沢山地面に転がるアメリカ陸軍の兵士達の死体


「クソが…!」

『ババババ…!』

 ライフル銃を乱射するアメリカ陸軍の兵士

 しかし、次の瞬間

「キャン!」

「キャン!」

「キャン!」

 三頭のコヨーテの超生類ちょうせいるいが、それぞれ首元、腕、太股に噛み付き

『ザッ!!』

 そのまま肉を引き裂いた

「不味い肉だ…」

 一頭のコヨーテの超生類ちょうせいるいは口元から垂れる血を、手の甲で拭いながら、そう言う

「戦いが終わるまでの我慢だ…」

 違う一頭のコヨーテの超生類ちょうせいるいは、言うのだった

「それならば、口を動かす前に、手を動かせ…

 次、行くぞ…!」

 もう一頭のコヨーテの超生類ちょうせいるいはそう言い、戦場を駆け出す

 そして、それに続いて、二頭のコヨーテの超生類ちょうせいるいも、戦場に駆け出していくのだった


 長閑な町並みに立ちのぼる多くの黒煙

 その範囲は広がっていき、草原は荒野へと化していく

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