第12話 星降り

《太平洋上》

 護衛艦まやを先頭に、護衛艦むらさめ、護衛艦いかづちが後ろを連なって、航行していた

《護衛艦まや、船内》

「護衛艦むらさめ、護衛艦いかづち、両艦共に無事合流しました…」

 通信を担当する自衛官が言う

「了解した…」

 と艦長らしき自衛官は答えると

「イージスの盾が、矛と化すか…

 それに、配備されたばかりのものを、早々に使う時が来るとは…」

 と続けて呟き

「予定時刻と同時に、我々は作戦を開始する…!」

 と強く言うのだった


《同時刻、中部防護壁内》

『ブシュッ!!』

 建物の壁に、扇状に血飛沫が飛び散る

 その壁に向かって、右拳を突いていたシャローラ

 壁から拳を離すと、シャローラの拳は血だらけになっていた

『ポタッ…、ポタッ…』

 垂れる血液

 すると

「シャローラ、様子が変だ…」

 と虎の超生類ちょうせいるいが、話し掛けてきて

「人間共の反撃が弱くなったか…?

 我々の侵攻を許しているような…

 もしかしたら、我々をどこかに誘い込んでるのでは…?」

 と言うのだった

「確かに…

 我々が壁を破った時は、猛反撃してきていたというのに…

 今は、その勢いが無い…」

 とシャローラは言う

「それに、まだ可笑しな所がある…

 住民の避難が早過ぎる…!

 我々の侵攻より、何か別のものから避難しているような…」

 キリンの超生類ちょうせいるいはそう言うのだった

「考えても仕方ない…

 我々は、我々の目的を達成するまでだ…!」

 とシャローラは言う

 だが、そんな時であった

「…?」

 インドサイの超生類ちょうせいるいの耳が、ピクッと動く

「どうかしたか…?」

 シャローラが尋ねる

「いや…

 何か音が聞こえたような…?」

 とインドサイの超生類ちょうせいるいは答えた

「そっちは何か聞こえたか…?」

 シャローラは、象の超生類ちょうせいるいの方を見て、再び尋ねる

「何も聞こえてないが…」

 象の超生類ちょうせいるいは、大きな耳をパタパタさせながら、答えた

「それなら、気のせいなのか…?」

 インドサイの超生類ちょうせいるいは、再びその耳を前や横に動かしながら、言うのだった


《同時刻、再び太平洋上》

 護衛艦まやの艦内

「艦長、作戦海域に入りました…」

 通信を担当する自衛官が報告する

 艦長らしき自衛官は時刻を確認してから

「むらさめ及び、いかづちと通信を繋げ…

 作戦海域、作戦開始時刻となった

 総員、配置に付け…!

 作戦を開始する…!!」

 と言うのだった

 そして

「各艦、Mk.41 VLSシステム、起動…

 目標は、東経136° 北緯35°を中心とした一帯…

 各艦、トマホークミサイル…

 全弾、撃て…!!」

 と艦長らしき自衛官は、大声で叫ぶ

『ドゥンッ、ヒューン!!

 ドゥンッ、ヒューン!!

 ドゥンッ、ヒューン!!』

 ミサイルの垂直発射システムのハッチが次々と開き、そこから次々と絶え間なく発射される巡航ミサイルのトマホーク

 三隻の護衛艦から、天まで伸びる無数の白煙

『ヒューン、ヒューン、ヒューン…!』

 青空の中を突き進む無数のミサイル達


《再び、中部防護壁内》

 戦場の違和感に疑問を抱きつつも、侵攻を再び開始しようとしていたシャローラ達

 しかし、その時であった

「…!」

 インドサイの超生類ちょうせいるいの耳が、勢いよく正面を向いて、止まる

「いや、やはり何か来てる…!

 …上だ!!」

 とインドサイの超生類ちょうせいるいは、そう強く言う

「!?」

 シャローラ達、超生類ちょうせいるいが一斉に空を見上げた

 そこには、迫る無数の巡航ミサイル

『ドッ、ドッ、ドッ!!』

 そして、次の瞬間、中部防護壁内一帯に、次から次へとミサイルが降り注ぐのだった

 崩れる住宅やビル等の建物

 中部防護壁内一帯が白煙や、黒煙に包まれる


《同時刻、護衛艦まやの艦内》

「トマホーク、攻撃目標地点に着弾…!」

 通信を担当する自衛官が報告する

「まだだ…!

 全弾、撃ち尽くせ…!」

 艦長らしき自衛官は言う

『ドゥンッ、ヒューン!!

 ドゥンッ、ヒューン!!

 ドゥンッ、ヒューン!!』

 ミサイルの垂直発射システムから、まだまだ発射されていくトマホークミサイル

「…」

 艦長らしき自衛官は、次から次へとミサイルが発射される甲板を、真剣な表情でただ見詰めているのだった

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