第11話 決断

《中部防護壁内、司令室》

 壁一面のモニターに、あらゆる所を映し出された映像が映る

超生類ちょうせいるいの数は、確認が出来るので、10…!」

「ゲートを警備していた自衛隊員達との通信が途絶えました…!」

超生類ちょうせいるい、更に壁内へと侵攻中…!」

 通信を担当する自衛隊員達から、次々と報告が入る

「16式、前線に到着…!」

 一人の自衛隊員が言う

 しかし、

『ボオンッ!!』

 16式機動戦闘車が爆発する映像が、モニターに映し出された

「16式、大破…」

「…!」

 その光景を見ていた自衛隊員達は、驚くのだった


「陸将補…!

 どうしますか…?」

 自衛隊員の一人が、司令らしき男性自衛官に聞く

「…!

 防衛ラインを第2防衛ラインまで下げる…

 そして、16番、17番、18番の居住ブロックを放棄する…

 住民の避難を急げ…!

 投入出来る全ての兵力をもって、超生類ちょうせいるいを排除する…!」

 と司令らしき男性自衛官は言う

「承知しました…!」

 尋ねた自衛隊員は、そう答えた

『本当にこれで、排除出来るのか…?

 最悪の場合は…』

 司令らしき男性自衛官は心の中でそう考え、次の瞬間、通信機器を手に取り、どこかに連絡するのだった


《中部防護壁内、戦場の最前線》

『ババババ!!』

 小銃を連射する自衛隊員達

 だが、次の瞬間であった

『ドオンッ!!』

 インドサイの超生類ちょうせいるいが、突進してきて、鋭い角とショルダータックルで、その自衛隊員達を吹き飛ばす

 しかし、次の瞬間

『ドゥン!

 ドゥン!

 ドゥン!』

 そのインドサイの超生類ちょうせいるいに向かって、110㎜対戦車弾を一斉に放つ自衛隊員達

 インドサイの超生類ちょうせいるいの目の前まで迫る誘導弾

 だが、その時であった

『ドゥンッ!!』

 地面から岩の壁が隆起してきて、その誘導弾を防ぐのだった


『ドンッ…』

 崩れる岩の壁

 すると、岩の壁の後ろから現れたのは、地面に向かって拳を突き立てたクロサイの超生類ちょうせいるいであった

 インドサイの超生類ちょうせいるいと、クロサイの超生類ちょうせいるいが並び立つのだった

「別に助けて貰わなくても…

 これでも“ヨロイサイ”と言われているからな…!」

 とインドサイの超生類ちょうせいるいは言う

「余計なお世話だったか…

 それは失礼したな…」

 とクロサイの超生類ちょうせいるいは答えた

「別に良いさ…!

 今は、目の前の人間共を蹴散らせたら…!」

 インドサイの超生類ちょうせいるいは、そう言う

「そうだな…!」

 クロサイの超生類ちょうせいるいは、そう相づちを打つのだった


《別の戦場》

『シュン!!

 グシンッ!!』

 次々と引き裂かれていく自衛隊員達

 そして

『グサッ!!』

 逃げようとした自衛隊員の背中から貫かれる、鋭い爪が生えた獣の右手

 ゆっくりとその右手は抜かれて、ゆっくり倒れていく自衛隊員

 すると、そこに立っていたのは、虎の超生類ちょうせいるいであった

「クソが…!」

『ババババ!!』

 そう叫びながら、小銃を連射する自衛隊員

 しかし、銃弾を躱しながら、間合いを詰めてくる虎の超生類ちょうせいるい

 そして

『シュンッ!!』

 鉤爪で、自衛隊員の右脚を切り落とされる

「…!?」

 バランスを崩す自衛隊員

 すると、虎の超生類ちょうせいるいは、自衛隊員を引き裂いた後、そのまま反転すると

『シュンッ!!』

 今度は左手の鉤爪で、自衛隊員の背後から、その自衛隊員の首を切り裂くのだった


《再び、司令室》

超生類ちょうせいるい、更に深部に侵入…!

 このままでは、第2防衛ラインも突破されます…!」

 通信を担当する自衛隊員が報告する

「クッ…!」

 唇を噛み締める司令らしき男性自衛官

「陸将補…!」

 補佐的な自衛隊員が聞く

「…

 全ブロックの全住民に、地下シェルターへの避難を通告…!

 そして、全隊員に通達する…!

 1時間後、全隊員は地下シェルターへ避難せよ…!

 我々は、中部居住区、地上地帯を“放棄”する…!!」

 と司令らしき男性自衛官は、強く言うのだった

「…!?」

 その司令室に居た多くの自衛隊員達は、驚いた


《同時刻、静岡県沖、太平洋上》

 一隻の護衛艦、“まや”がどこかに向かって、航行していた

「予定時刻通り、作戦ポイントには着く模様です…」

 自衛隊員の一人が言う

「了解した…」

 艦長らしき自衛官はそう言い、ただ真っ直ぐ、水平線を見詰めるのだった

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