第15話

「ええと……」

リイコが息を吸い込む。

「キャンピングカーを取り返しに来ましたーっ!」

塔の入口前で叫ぶ作戦。

「リイコ。任務完了」

「完了……は、したね」

「俺、感動しました!!リイコさんやってくれましたよ!」

「うん……そうだね」


「出てくるはずっスよ!ルノルドサンっ!」


「まあそりゃああれだけ大声で叫んだら一人くらいは、えっ!?」

塔の中からキャンピングカーが出てきた。リイコは驚いてこちらに走ってくる。

「え!?そのもの!?そのものが来るの!?」

「来るっス!やったー!このまま上に乗ってストワード中央まで向かいましょう!さあ!ジャンプです!」

「あんた正気か!?誰か運転しているんだろう!?いや、そうじゃなくて待ってくれさすがに!猛スピードで走ってくる!俺たちを轢く気だぜ!?」

「……?ルノルド・エル・レアンドロ。私たち返還を要求した。塔中人が応答した。以上」

「とうなかんちゅってなんだよ!あんたは冷静過ぎなんだよ!……だーーーっ!!もう!!!」

走っているリイコがもう限界だ。

ルノルドが自分に急ブレーキをかけ、キャンピングカーを睨む。


体に力を入れて、深呼吸をする。

「……行くぜ」

光が辺りを包む。驚いたリイコが見たものは、


ふわふわの大きなウサギだった。


「か、かわいいっ……!」


もふもふの毛並みのせいで2メートル近い大きさに見える、そんなウサギが車に体当たりをする。

「すご……。あれが、ルノルド・エル・レアンドロ……」

マウノネオが目を見開く。

車が止まり、中から運転手が出てきた。

「なんだこのモフモフ……かわいい……埋まりたい……」

「近付くな!蹴るぜ!」

「ひっ!?」

野太い男の声。ルノルドの声だ。

「車を置いて行け!おい、あんたたち!ボーッとしていないで乗り込むぜ!」

リイコ、ラトレル、マウノネオがキャンピングカーに乗り込む。ルノルドも変化を解いて乗り込んだ。

マウノネオが車のエンジンを入れる。アクセルを思いっきり踏み、猛スピードで走り出す車。

「ギャハハ!すごい!すごい……っ!これなら……!」


「ルノルドサン!俺、今すごくすごく!」


「ドキドキしてます!!!」


「俺もドキドキしてるぜ!あんた、運転荒いね!?」

「う……不調……」

「怖い……車ってこういう動きをするのがこの大陸の普通?」

砂漠の上を走る。どういう技術か分からないが、走れている。

「ギャハハ!砂漠の上を走れるのは俺の運転技術です!キャンピングカーにそういう機能ないですから!」

「ルノルド!さっきのもふもふになって!なんだかクラクラしてきたから癒されたい……」

「いや、アレはちょっと寿命縮むから……。そういえば、あんたの大陸にウサギっていないの?」

「ウサギ?……分からない」

「ウサギも鳥もいないのか……。不思議な場所だな」

ガタガタすごい動きだが、たしかにかなりのスピードで前に進んでいる。すごい技術ではある。でも、正直緊急事態以外は使いたくない。


(今は早くストワード中央に行かなくちゃだ。あの塔はきっと『永遠の機械』に関係している……!)


(このシャフマを抜けて、ストワードへ!)

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