染々
第10話 染々 その1
随分古い記憶だ。
ガキの頃読んだ本、いや教科書に載っていた話だったかもしれない。
ある作家が染物職人に取材に行った。
その染物職人は、見事色鮮やかなピンク色の和服を染め上げていた。
職人いわく、ピンク色の染料は桜の木から抽出した、という。
それを聞いた作家は「なるほど、桜の花弁からこの見事なピンク色を出しているのですやね」と職人に聞いた。
職人は首を横に振る。
このピンク色は桜の木の幹から抽出した、と答えたそうだ。
作家は自分の思い込み、先入観を恥じた。というのがこの話のミソだ。特に作家が死んでいた的なホラー表現などは、当然無い。
何故か今回の件は、こんな昔の記憶の扉が開いてしまった。そんな話だ。
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