第20話  生活安全課へ移動

俺の処分が言い渡された。今の心境は複雑だった。別に公安委員会の処分に不満を持っている訳ではなく、やはり人を殺めた罪悪感が残る。どんな悪人だろうと家族は居るだろう。その家族を思うと心苦しい。吉田さんならなんと言ってくれるのだろうか。

 一ヶ月間の謹慎と三ヶ月間の減棒、復帰後は生活安全課の内勤と決まった。俺はその足で総務課長を訪ね報告した。

「そうか謹慎と減棒は世間の非難を和らげる手段だろうが、暫らくは事務職だが二年程は我慢してくれ。落ち込むなよ。君のような正義感溢れる若き警官を絶望させたくない。精神的苦痛は誰も分かってやれないが時間が和らげてくれるさ。そうそう吉田さんが意識を取り戻したよ。真っ先に君の事を心配していたそうだ」

「ほっ本当ですか? 良かった。本当に良かった。早速報告に行って来ます」

「そうしたまえ、喜ぶぞ」


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