第17話 総務課長の傷

総務課長にも深い傷となって残っているようだ。 

 「勿論、警察全体が世論から批判を浴びた。私がコンビだったから庇う訳ではないが吉田さんが撃たなかったら人質は死んでいただろう。もし撃つのを躊躇い人質が死んでいたら、これもまた批判は大きくなっただろう。本当に運が悪い事件だった。現在偉くなっている連中や県警本部は吉田さんに頭が上がらないのさ。で、吉田さんの希望を受け入れ宮園署に長年移動せず現在に至るがね」

 俺は吉田さんの謎めいた過去を知った。拳銃を使った事がない……そう思いたかったのだろう。無理もない悪夢だもの。

「この事件は大きく報道され遺族が告訴し裁判までに発展した。県警本部は、発砲は人質を守る為の正当な発砲であるが、何の関係もない市民を犠牲にした事は深くお詫びしますと、大きな話題になった。吉田さんは無罪となったが刑事を辞め交番勤務を選んだ。知らないと思うが吉田さんがいま提げている拳銃には実弾が入ってないんだ。勿論規則では許されないが点検時は装着し交番に着いたから抜いている筈だ。私も刑事を辞め現在の職にある」


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