第10話 吉田さん重体

「事件発生! 場所は宮園神社参道付近、吉田警部補が腹部を数回刺され重傷、本官は犯人に発砲、怪我の程度は不明、至急救急車と応援願います」

 「了解、直ちに応援及び救急車を向わせる」

 「了解、申し遅れましたが犯人は二名と思われ一人は逃亡中、至急、至急吉田さんの意識がありません。かなり危険な状態です」

 三分ほどして近くをパトロールしていたパトカーだろうかサイレンが聞こえて来た。

パトカーを急停車させ、慌て二人の警官が慌しくパトカーから降りて駆け寄って来た。

 「一体どうした?」

 二人の警官が吉田さんと倒れている男を見比べ、更に俺の方に顔を向けた。

 「…………」

 悲惨な状況に一瞬声を失ったようだ。当の自分も混乱している。なにはともあれ吉田さんが心配だった。それから間もなく救急車とパトカーが次々と到着した。

 拳銃発砲と現職警官が刺されて重体という大事件となった。暗い神社の参道は警官と野次馬でお祭り騒ぎのようになった。

 その間、俺は吉田さんの体を支え呆然として動くことさえ出来なかった。しかし撃たれた犯人も同様、意識がなく腹を抑えて倒れている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る