第9話 吉田先輩警官が刺される

そういうと吉田さんは一人その杉の木の下へ向った。刺されるれた通り右方向へ進んだ。吉田さんは事件性を感じのだろう。

もし犯罪に絡む人物なら逃がさないように別方向から挟み撃ちするようにするのが上等手段である。俺は吉田さんが進む方向を見ながら遠回りに近づくつもりだ。間もなく吉田さんが懐中電灯を男達に照らし声を掛けた。

 「あんた達はここで何をしているのかね?」

 すると一人の男が慌てて逃げた。もう一人の男も逃げかけたが吉田さんが腕を掴むのが見えた。俺は周り込むのを止め、逃げて走った男を追おうとした時だった。

 ウッ! という呻き声が聞こえる。吉田さんの方を振り向くと吉田さんが腹を抑えながら警棒を取り出し所だった。薄明かりに照らされ鋭く光る刃物が見えた。その距離は二十五メートメほどで俺は夢中で吉田さんの元へ走りかけた。 

 「吉田さん!!」

 俺は叫んだ。だが腕を掴まれた男が刃物を吉田さんの腹に二度喰いこませ更に突き刺す寸前だった。もう一時の猶予もならない三度も刺されたら吉田さんの命が危ない。俺は躊躇することなく拳銃を抜き、片膝をついて拳銃を両手で支えた。

 丁度吉田さんが倒れ、男が吉田さんを見下ろし形になり腰を屈め右手の刃物が吉田さんの腹に喰い込む、と同時に銃声と発射された光が一瞬闇夜に輝き再び闇夜に包まれた。

 放たれた銃弾は男に命中したのか男は倒れた。俺は吉田さん! と叫びながら吉田さんの元へ駆け寄った。撃たれた男よりも吉田さんを優先した。

 真夏の暑い夜、今日もいつも通り巡回し勤務明けに吉田さんと飲みに行くつもりだったのに……。吉田さんは腹を抑え痙攣を起している。吉田さんを刺した男を見る余裕もなく俺はピーファンを取り出し本署へ通報した。

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