第8話 怪しい人影
俺達は三十メートルほど先にいる酔っ払い男を、足を止めて様子をみた。
少し遅れて連れの女だろうか、男に文句をいいながら男を支えフラフラと横道に消えて行った。
「なんでぇ女に支えられるほどヨレヨレとは情けないない奴だ」
吉田さんは苦笑する。
俺達は飲み屋街を一周し住宅街を抜け公園方面へ向った。この市一番大きな県営の公園である。公園の中央には池があり噴水が備え付けられ市民の憩いの場所である。夜は恋人同士が多く見られる。広い公園であり多くの防犯灯はあるが、それでも死角があり暗闇になる。
其処を懐中電灯で照らしと驚いたよう起き上がる恋人同士が居た。何も野暮な事はしたくないがこれも任務だ。公園を一通り見廻り北の方に向かうと、ここからは殆ど人が居なくなる。この先に神社があり参堂へと続く道がある。大きな杉の木が生い茂り街頭の明かりも大木の陰に隠れ薄ぐらい場所だ。その大木に隠れるように二人の人陰が見えた。
「吉田さん、誰か人がいるようですね。こんな場所で何をしているんですかね」
「うん、なんか様子が変だな。ちょっと見てみるか、お前は遠回りして反対側に廻れ」
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