第6話 見回り

 同じ署の若い刑事が溢していた。

『刑事になったはいいが、地味過ぎて毎日歩くのが仕事でさぁ交番勤務の時が良かったよ。お前も無理して刑事を希望することはないぞ』

 この時ばかりは俺も少し引いたが、それでも一度は刑事をやってみたい。

 世間では刑事がかっこよく見えるだろうが、聞き込み捜査などによる情報収集が仕事の八割を埋めるそうだから、地味な仕事であるらしい。


 逆に我々みたいな制服組は常に拳銃を携帯している。街を歩くだけで防犯効果があるのだ。だが普段刑事は拳銃を携帯していない。また拳銃を携帯するには犯人が凶器を持っている時、それも許可が必要だ。アメリカと違い簡単に拳銃を発砲出来ない。その点交番勤務の警察官は一般市民を守る為と悪い事をすればこの拳銃が黙っていないぞと……

 少し大袈裟な表現だがそんな理由から常時携帯する事が義務付けられている。

 自分だって分かっている。この拳銃を使う事態に遭遇しない事を願っている。


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