第18話 今時の日本の音楽についていけず、昭和歌謡に戻ったら、令和にアルフィーが現存してた

『ファースト.....サマー.....ウイカ.....?!』


海外で暮らしていると、日本のエンターテイメントの情報は、もっぱらインターネット頼りになる。


しかし、TVerとかのサービスは日本国内限定だから、実際にその方々が出演するドラマや音楽番組をカナダで見れるわけではない。だから中途半端な情報だけ入ってきて、全体像が今ひとつ、ついていかないという現象が起こる。


『うっせいわ』を歌っているのが、Anoちゃんだと、ずっと勘違いしてた。「こんな、ほんわかした喋りの女の子が、歌うとこんなに変わったら、そりゃあ、ギャップにやられるわ」とか、勝手に納得していた。


藤井風に至っては、藤井風(ふう)と読んでしまって、


藤井風(ふう)って、どういうことよ。誰が藤井風なのよ。そもそも、どの藤井なのよ。藤井郁弥?それとも、隆の方か?などと、一人で混乱していた。


『ミセス・グリーンアップル』は、ミセスって言ってるけど、男の子のバンドで、女の子バンドは『Bish』の方。とか、


グリーン(緑)つながりで、『ミセス・グリーンアップル』と『緑黄色社会』を混同してはいけない。あと『緑黄色社会』であって、『緑黄色野菜』ではない。とか、


『Bling-Bang-Bang-Born♪』は......おーっと、日本人だったのか。とか。


おまけに、頼みの綱のジャニーズまで次々改名してしまって、おばさん、もう、すっかりお手上げ状態。


俳優さんだって、日本にいた時、娘が歌って踊りまくってた、『マル・マル・モリ・モリ!』の子がすっかり大人になってて、最初わからなかったし。まあ、踊りまくってたうちの娘もティーンエイジャーなんだから、当たり前なんだけど。


そんなことを繰り返していると、心がすさんで自然と自分の知っている、昔懐かしい芸能人が、私の中で、どんどん返り咲いてしまう。


動画検索も『松田聖子』『中森明菜』『小泉今日子』『ベストテン』『80年代ヒット』とか、そんな方向にシフトして、当時のキラキラしたアイドルを懐かしんだりしていた。


そんな折、動画サイトで、


「THE ALFEEと阿佐ヶ谷姉妹、夢のコラボ!」


みたいなのが目に入った。


「へー。アルフィーって、まだやってたんだ」


などと思って見てみたら、歌ってたのはアルフィーと、阿佐ヶ谷姉妹の妹さんだけ。


「阿佐ヶ谷姉妹の片方だけの出演って、めずらしいな。しかし、芸人さんなのに歌、上手すぎ。ってか、高見沢さんてこんな感じだったっけ」などと思ってたら、ふと気がついた。


いるいる、阿佐ヶ谷姉いる。坂崎さんになって......いる。コスプレ(?)のクオリティ高すぎて、気がつかなかった。


こんなところでも、古参の視聴者を混乱させるとは、日本の芸能界、恐るべし。


しかし、私にとってのアルフィーは、80年代の『おじさんバンドのくせにアイドルみたいな扱いされてる得体の知れない人たち』という印象で止まっていたので、数十年もたって、この『女芸人さんとのコラボ』を力技で成立させている姿は、なんとも新鮮に映った。


そして、今どきの、サラッとした、ながれていくような歌い方でもなく、「むしろ踊りがメインじゃね?」って感じのパフォーマンスでもなく、


ただただ直立不動で淡々と歌い上げる桜井さん、自分の分身がそばにいるのが面白くってしょうがない、って感じの坂崎さん、なんかもうどっか異世界に行っちゃってる高見沢さん、


というバラバラさなのに、思わず曲に引き込まれたあたりに、昭和の底力を見た気がした。


そういえば、カナダで耳にする曲(英語の曲、当たり前だけど)ばっかり聴いている、うちの子供たちも、「今時の歌は、同じ単語の繰り返しばっかりで、歌詞の意味がなさすぎてつまらん」だの、「何かっていうとラップが絡んできて嫌なんだよなー」とか言って、たまに80年代、下手すりゃ、70年代の曲とかを聴いていて、「なんで、こんな曲知ってるの?」と、驚くこともしばしば。


娘にいたっては、「ああ、私、なんで80年代に生まれてなかったんだろ」と、嘆いていたし。


なんか、場所とか年代とか関係なく、似たような現象が起きているのではなかろうか?


〜終わり


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