第15話 ここカナダでも『おにぎり』が流行りそうな予感

寿司がもう定番になってるのは置いといても、カナダにおける『日本』のトレンドもそれなりに移り変わっていて、私の感覚でいくと、日本酒→日本のウイスキー→ラーメン、みたいな流れできたと思う。


まあ、その間に『PPAP』だっけ? 

あの「ペン、パイナッポー、アッポー、ペン」

ってやつが、突然子供達の間で爆はやりしたこともあったけど。


カナダの田舎町で突然、小学生が揃いも揃って「ペン、パイナッポー」言いながら、体くねくねさせてて驚いたっけ。


そして、今度は『おにぎり』が、はやりそうな雰囲気を、実は私は感じとっている。


私の唯一のママ友だった人は、若かりし頃、たぶんバブル期だと思うんだけど日本に行ってたことがあるらしく、英語の先生や、夜、おっさんたちが来るクラブ?パブ?みたいなところでもちょっと働いてて、

「酔った日本人のおっさんは、おもしろくって、かわいかった」

と言っていた。


その彼女が、一番恋しい日本の食べ物が、コンビニの『ツナマヨのおにぎり』なんだと。バブルの頃なら、もっと高くて美味しいもの食べさせてもらったろうに、『ツナマヨおにぎり』なんだって。


それに、うちの子供ともども日本に一時帰国して、その後カナダに戻って運転してたら娘が、

「あ、セブンイレブンがある! 寄って! 寄って!」

と叫ぶ。

そこで、ピンときた私が、

「言っとくけど、日本のセブンイレブンとは違うよ。おにぎりもチキンもないよ」

と言ったら、絶望の顔をしてた。


               *


ところで、娘や息子の学校の弁当に、おにぎりを持たせることがある。


娘は海苔パリパリ派なので、海苔は別の袋で。

息子はどっちでもいいらしいので、海苔巻いてからラップで包んで持たせている。


やっぱり、そこら辺のこだわりは、大事にしてあげたい母心。


そして、娘はわりと少食なのだけれど、またも母心で、

「もうちょっと、もうちょっと」

と弁当箱にいろいろ詰め込んでしまい、結果、

「だーかーらー、多いって言ってるでしょ」

と怒られる。


そして娘は残った分を帰宅してから、おやつがわりに食べている。


ある日、娘が少しばつの悪そうな感じで、

「今日ねえ、また、私、お腹いっぱいになっちゃって。そしたら、友達のAちゃんが欲しいって言うから、おにぎりあげちゃった」

と言ってきた。


「あ、弁当、やっぱ今日も多かった?」

「それもあるんだけどさあ」


娘によると、

「それ、食べないのなら、もらえない?」

とKちゃんに聞かれて、それであげちゃったとのこと。


「へー、でもKちゃんって中東出身でしょ? おにぎりなんて口にあったの?」

「なんかさあ、食べてみたかったんだって、おにぎり」

「え? なんでまた?」

「Kちゃんって日本のアニメ好きでしょ。それで、よくアニメにおにぎりが出てくるんだけど食べたことないから、一度、食べてみたかったんだって」


なるほど。

お寿司や、ラーメンなら、カナダでも食べられるけど、そういえば、おにぎりって、まだ一般的ではない。


「あとね、Kちゃん、あんまりお弁当もってこないのよ。っていうか、もってくるんだけど、すっごい小さいの。だから、私が食べきれないときは、Kちゃんに、おにぎりあげてもいい?」

「そりゃ別にいいけど……なんなら、Kちゃんの分も持たせてあげようか?」


すると、しばらく娘は考えていたけど、

「いや、そこまでしなくていい」

とのことだった。


昭和の世話好きおばちゃんの気性がむくむくと出て、もうひと押ししたくなったけど、一応、娘の言う通りにして、ここは引き下がった。


なんか、「子供がお腹空かせているかも」って思うと、いてもたってもいられない気持ちになってしまうのが、昭和のおばちゃんクオリティ。


まあ、中東出身なだけあって、たまにラマダンとかでランチ自体食べないこともあったりするから、あまり気にしなくてもいいんだろうとは思うんだけど。


まあ、なんか、ニューヨークとかでは、すでに『おにぎりブーム』来てるらしいから、カナダまで飛び火してくるのも、時間の問題かな、と思う、今日この頃。


こんなこと書いてたら、セブンイレブンのツナマヨおにぎりが無性に食べたくなった。


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