第8話 言うほど日本は人気なのか
人気だと思う。
いやもう、マジで。
娘の課外授業がダウンタウンであって、駅まで娘と友達のAちゃんを迎えに行ったんだけど、もうAちゃんちに着くってあたりで娘が急に、
「そういえば、Aちゃん、春休みにお父さんと日本行ってきたんだって」
と言い出した。
「お? いいね、いいね。でも、またなんで日本?」
Aちゃんは見るからに白人さんで、アニメオタク風でもないし、日本と縁がありそうには見えない。
「なんか、お父さんが行こう、って言うから、、、」
なるほど。
お父さんに連れてかれたのか。
「で、どうだった?」
「おもしろかった、特に大阪が。お父さんがハマっちゃってまた行こう!って。今度は京都に行くって騒いでる」
と、苦笑していた。
っていうか、大阪行って、京都行かなかったんかい。
まあ、こんなのばっかり。
ティーンエイジャーの娘曰く、『誰も彼も、日本に惹きつけられてる』らしい。
学校で、「私、半分、日本人だよ」と言うと、「先生にせよ、友達にせよ、みんな目の色が変わるんだ」とのこと。
まあ、色黒の私に似ちゃって、ラテン系に見えるから、そう言う面でも驚かれるらしいが。
私も、こっちで出会ういろんな人に、自分が日本人だと言うと、「一度、行ってみたい場所のひとつだわー」と、十中八九返される。
まあ、そりゃ私だって、会話してる相手が「◯◯国出身」と聞いたら
「ああ、私も一度、行ってみたいんですぅ」と言います、そりゃ。
でも、これが案外、社交辞令とばかりとも言えなくて、実際「行きたい、行きたい」と言ってた人が、何人も本当に日本旅行を決行している。
そして決まって、「いやあ、日程が足りなかったわ」と言って、リピーター決定!みたいなことになってしまう。
何がそんなに日本に惹きつけられてるのか考えてみたんだけど、まあ、実際、今、円安になってるし、経済的に今がチャンス!ってのはもちろんあるだろうけど、ここまで円安になる前にも、みんなバンバン日本行ってたから、理由はそれだけじゃない感じがする。
考えられる事のひとつに、YouTubeとかで簡単に日本の様子が見れることが大きいかもしれない。ほとんどが好意的なものだし、うまいこと外国人視点でのおもしろさを表現してくれていると思う。
それに、
安全で、清潔なのに、めちゃくちゃ異文化である。
得体の知れない食べ物が多いけど、なぜかだいたい美味しい。
都会と田舎で様子がまったく違う。
100均、家電、アニメ関係とか、訳のわからないものがたくさん売られている。
駅の混みっぷりですらエンターテイメント。
みたいな感じ?
つまり誰が訪れても、どこかしらヒットするポイントがあるのではないか?と、私は思う。
私も今まで、オーストラリアとかメキシコとか旅行したけど、その土地ならではの独特の雰囲気や、食べ物を満喫して、それが旅の醍醐味だと思っている。
ところが、日本って日本らしさ、京都の寺とか、和食とか以外にも、いろいろ詰まっている、なんだかやけにカオスな国なんだなあ、と、カナダ在住の今、日本を遠巻きに見て初めて理解した。
東京だけでも、渋谷のスクランブル交差点から、秋葉原、浅草、足を伸ばせばディズニーランドまで行けちゃうんだもの。
ちなみにカナダにディズニーランドはないから、アメリカのLAのディズニーランドか、フロリダのディズニーワールドに行くことになるので、相当そのハードルは高い。だから、ディズニー行ったことない人ばっかり、実際のとこ。
ほんとそういう意味では、「日本、行きたい、行きたい」と、口を揃えて言うのも、あながち『社交辞令』だけではないんだな、と私は思っている。
〜終わり
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