第11話 『保育園の洗礼』カナダ vs 日本
先日、海外育ちの日本人のお母さんが日本に来て、いろいろな保育園グッズ、コップとか園で履くシューズとかが、みんな同じようなものをピシッと持ってくるのに感動した、っていう動画を見た。
娘と息子は日本で生まれ、保育園に通っていたから、その感覚はよーくわかる。私も受けたもん『保育園の洗礼』。
すべての持ち物に名前を書き、「このようなサイズの手提げバッグを用意してください(なるべく手作りで)」と言われ市販のものが見つからず、お裁縫もできないので青ざめていたら、見かねた職場の友人のお母さんが手作りしてくれた。
「使用済みのオムツは各自持ち帰ってください」なんて、人生で一番意味がわからなかった。
「働く親のための保育園なのに、なんでこんなに負担が大きいんだよ!」ブチ切れたことも、少なくない。
朝が遅い出勤の元旦那が二人を保育園へ連れてってくれたから良かったけど、帰りは私が引き取りに行く役目で、フルタイムで働く私はもちろん、お迎えがいつもギリギリ。相当心の負担になっていたのか、「突発事項で、迎えに行けない。」という夢をみて、飛び起きることが何度もあった。
片道一時間以上かかる通勤こなして、本当によくやってたと思う。
しかも、保育園からいろんなお知らせのプリントを持って帰ってくるんだけど、元旦那は読み書きがそこまでできるわけじゃないから、プリントを解読するのも、いろんな準備も私が一手に引き受ける。
さらに負担増。
私の実家は九州だし、元旦那の家族はカナダなので頼れる人もいない。
カナダに移住したての頃は、働いてもいないし、小さい町なので、車で10分もあれば、ピューンと、どこへだって行けるから、生活の変化にある意味戸惑ってしまったもんだ。
移住してしばらく経ってから、「そろそろ仕事でもするか」と思い、娘は小学校に入っていたので、学童も併設している保育園に息子を入れた。そこがのちに自分が学童の先生として働くようになり、ナタリーと出会うことになった保育園。
天パのロングヘアで、小太りおばちゃんの園長先生に入園の説明を受ける。
「準備してもらうものは......お弁当と水筒、着替え、あとオムツね。オムツもめんどくさかったら、名前書いたパックを園に置いといてもいいのよ。少なくなったら知らせるから」
以上。
子供のバッグが掛けてあるフックには、幼稚園バッグなどではない、いろんなバッグがぶら下がっている。
なんか、日本との差がありすぎて、逆に戸惑う始末。
後に自分が働くようになってから、他の先生たちと日本の保育園の話をしたら、驚愕していた。特に「使ったオムツを持ち帰る」ってところが。
もう、本気で、「いーやー。なんでー???」と、阿鼻叫喚。
そりゃそうだ。清潔、しかもハイテクで名の知れた日本で、お母さんたちが、使用済みオムツを忍ばせて毎日帰宅するなんて、ほんと理解不可能だと思う。
実際私も理由がわからなくて保育園の先生に聞いたことがあった。
その先生によると、以前は使用済みオムツを園で捨てていたんだけど、早くにオムツが外れる子どもの親御さんから、「うちの子はもうオムツ取れているのに、オムツ取れてない子供の分のゴミ袋代をうちも負担するのは、納得できない」とやらのクレームで、持ち帰りになったらしい。
意味不明。
今の図太い私なら、「オムツ取れてない子の親で、ゴミ袋代は負担しますから!」って、ベルばらのオスカルのごとく、反旗を翻したかも知れないが、いかんせん自分の生活にいっぱいいっぱいで、それどころじゃなかった。
ちなみにそのカナダの保育園の学童で働いてた時、「夏休みに市民プールに子供達を連れてく」って日もあったんだけど、全員が全員、ビーチサンダルで、ビニール袋にタオルと水着入れて、ブンブン振り回しながら持ってきてたのには笑った。
そもそもカナダに水着用のあのビニールバッグ自体が存在してないから、当然っちゃ当然なんだけど。
〜終わり
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