第2話 英語ゼロからの道のり

先月は、叔母が老人ホームに入りたいというので、まるまる日本に帰ってそれを手伝っていた。


で、カナダに戻ったタイミングで、友達のナタリー(仮名)が、「帰って来たんなら、ちょっと会わない?」と、連絡があったので、お茶することに。


ナタリーは、オーストラリア出身で、カナダ国籍もとって、こっちで小学校の先生している。そして、カナダでも先生できるように教員免許の切り替え?更新?をしている期間、学童の教員として働いていた。その併設の保育園に子供を預けていた私も声をかけられて同じ学童で働くようになって、それ以来の付き合いだから、かれこれ、7、8年はつるんでいる。


同僚だった時、偶然にも二人とも「離婚するか、否か?」で、悩んでた時で、まあ、ナタリーはレズビアンだから、伴侶は女性なんだけど、恋愛→結婚→離婚の流れは、いわゆるストレートのそれとなんら変わりはなく、結果、急激にお近づきになった。


二人とも、「相手側から離婚を切り出されて」ってとこも一緒だったから、「納得いかねー、私はなんにも悪くない!」からの、「あれ、ひょっとしてこれ、もうどうにもならないって状況?」という現状把握に至り、「やっぱこれ、離婚しかないわ」までの流れが見事に一致したってわけだ。


もう本当、数限りなく飲みに行って仕事や離婚の愚痴を語り、アメリカやメキシコにも旅行行ったりする仲になっていった。


出会った当時は、カナダに来て2年くらいたったころだったから、私の英語も相当あやしいものだった。


確かに移住する前に10年は英語環境の職場で働いてたり、まあ、旦那も、一応カナダ人ではあったのだけど、どうしようもないほどの「ザ・理系」の人で、人々が想像する明るく陽気な外国人とは真逆で、表情筋が存在しないのではないか、ってくらい表情に乏しく、家にいるのか、いないのかわからないほど静か。まあ、本人の興味のある分野についてはよく喋るんだけど。かと思えば、妙に漢字知ってたり、日本の伝統文化に詳しかったりして、まあ、よくわからない人だった。そして、おしゃべりじゃないから、能面のような無表情で日本語の会話を盗み聞きしてるうちに、リスニング力のみが鍛えられたらしい。


で、私といえば、学生時代、英語の授業にまったく興味がなく、社会人になってから、英会話ってものに興味持ったくちなので、英語の土台がまったくない。よって、家庭内では私が日本語で話し、相方は英語で話すというシステムで、コミュニケーションが取られた。ということで、やっぱりお互い、聞く力ばかり上達していって、話す方が置き去りのままになってしまった。


そんな私も、今となっては、コーヒー飲みながら、ナタリーと弾丸のように英語で近況報告しあうようになっている。


で、ふと「これって、何だかんだいって、凄くね?」って、帰りに運転しながら思った。


カナダなんて、メープルシロップ、赤毛のアンの国、くらいしか知らなかったし、東京の寒さでへこたれてた人間が、なんの因果か、カナダ人と結婚して、そして別れても尚、カナダに在住しているという生活。


人生、何が起こるかわかりません。


〜終わり

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