第60話 デート

パーティーの準備ということで、俺とシャーロット、付き添いのシグレで街に来ていた。

 もちろん、正体がばれれば大事になるのはわかっているので少しだけ変装させてもらっている。



「ここがあなたが生まれ育った街なのね、案内してよ」

「いやー、実は俺もちゃんと街に来るのは初めてな気がする……」



 転生してからはひたすらヒルダ姉さんとの特訓や、ヘスティアの加護を持つ人間を探したりと大忙しだったからね。



「うふふ、なら私が案内しましょう。これまで忙しかったですからね。今日くらいは楽しもうじゃないですか」

「ああ、三人でデートだね」

「確かにデートって初めてよね、じゃあ、シグレ」

「はい、わかりました」



 デートと言う言葉に瞳を輝かせたシャーロットがシグレと何やらアイコンタクトすると、左右同時に手を掴まれて、肩に胸をおしつけられる。



「うわぁぁぁぁぁ?」

「その……今はサラシでかくしているけど」

「セイン様の大好きな胸はあなたと共にありますからね」



 おっぱいサンドだぁぁぁぁぁぁ!! 王家御用達の職人によってつくられたブラジャーに守られた二人の胸の感触が俺を襲う。

 異世界転生して本当に良かったと思う……



「え、なんで泣いてるのよ!?」

「いや、生きていて本当に良かったと思って……」

「うふふ、セイン様は本当に胸がお好きですね。これはあなた専用なんで屋敷に戻ったらたっぷりかわいがってくださいね」



 シグレに耳元で優しくささやかれて思わず笑みをこぼしてしまう。



「もう……シグレにばっかりデレデレしちゃって……今日は私のドレスを見に行くんでしょう? 早くいくわよ」



 ちょっと嫉妬したシャーロットにぎゅーっと胸を押し付けられながら俺たちはギャンガー家御用達の服屋へと向かうのだった。




「どう、似合っているでしょう」

「私までこのような格好をしてもいいのでしょうか?」



 服屋にてドレス姿を披露しているシャーロットとシグレ。気慣れているシャーロットは赤いドレスを身にまとい堂々と胸を張っており、逆に常にメイド服だったシグレは緊張した面持ちで青いドレスを身に着けている。



「二人とも似合っているよ……でも、谷間が見えないのが悔しい……」

「しょうがないでしょ……巨乳がバレたら騒ぎになるし、そもそもドレスのラインがくずれちゃうでしょうが」



 二人のドレス姿は確かに美しく壮観だったかがその谷間は閉ざされてしまっている。

 ヘラめ絶対許さねえぇ!!



「もう……お気に召さないみたいだから他のも試してくるわね」

「そんな風にがっかりしないでください。その……今日はデートですからね、屋敷に戻ったらああいうのも着てみましょうか?」



 涙を流して悔しがっているシグレが指さした方向には逆バニーガールや、スリットシスターなどの様々な衣装がおいてあった。

 まるでドンキー〇ーテのアダルトコーナーである。というかここって、うちの行きつけの服屋なんだよね。まさか、父の趣味じゃ……



「それにしても最近のシグレは随分と積極的だね」

「そりゃあ、私は戦闘ではあまり役に立ちませんし、最近はライバルも増えてますから……それに私たちのために一生懸命頑張っているセイン様を癒したいんです」

「シグレ……すっかりエッチになって……いや、エッチなのもはもとからだったか」

「いーまーのは感動するところですよ!! もういじわるですね」

「ごめんごめん、拗ねてるシグレが可愛くってさ。つい……」

「あんたね……私をほうっておいてなにいちゃついているのよ」



 シグレと軽口を叩きあっていると、ジトーっとしたシャーロットに睨まれる。その姿は背中が大きく開いており心なしか露出が上がっている。

 俺の好みにあわせてくれたのだろう。



「ごめんごめん、似合ってるよ」

「はいはい、申し訳程度に褒めてくれてありがとうございます。婚約者様」

「本気だって……機嫌治してよ」



 そんな風にイチャイチャしながら来るパーティーの準備を進める。遊びはこれで終わりだ。次はヒルダ姉さんとの警備の打ち合わせがまっているのだから……

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