第47話 雨降って地固まる

「随分と楽しそうなことをしているわね」

「いや、これには色々と事情がだな……」

「この人は誰ですぅ? 殺人鬼みたいな目でこっちをみてますよ」



 ベッドで抱き合うようにしている上に、ズボンを脱がされて駆けている俺と、股間に触れようとしているナタリアさん。それを冷たい目で見つめるシャーロット。

 どう見ても浮気がばれて言い訳をしようとしているクズヤロウである。



「まあまあ、落ち着いてくださいシャーロットさん。このサキュバスさんの胸を見てください」

「ああ、なるほど……この子もヘスティア様の加護を持つものなのね」



 絶対零度の視線で俺たちを見つめていたシャーロットだったが、ナタリアさんの胸を見て大体事情を察してくれたようだ。


 

「ああ、彼女はサキュバスの女王で力を使うのに精力が必要なんだ。だけどこれだけ大きな胸で興奮するのは俺くらいしかいなくて……」

「私はハイサキュバスにて、サキュバスの女王ナタリアと申しますぅ。ヘスティア様の加護を持つもので救世主様に救われたんですぅ」

「そう……私はシャーロット。この国の王女にて、セインの婚約者よ」



 どや顔で自己紹介をしているナタリアさんは置いておいて、シャーロットの様子を見る。

 サキュバスにとって精力は死活問題だ。だからといって婚約者である彼女がおこるのももっともだとは思う。だから、どんな罵倒も受けるつもりだったのだが……



「まあまあセイン様が普通の女の人に手を出したのではなかったんですからいいじゃないですか。ナタリアさんも私たち同様に救われたんだと思います。だったら仕方ないですよ」

「私だって王族だし、加護を持つものが四人いるって時点でこうなることは覚悟していたわよ……でも、私と婚約してから次の女を見つけるのが早すぎないかしら?」

「あれ……怒ってないの?」



 恐る恐る訊ねるとシャーロットは不服そうに唇を尖らせながら、強引に俺を抱きよせてくる。

 その様子は怒りよりも拗ねているような雰囲気で俺は驚きを隠せない。



「怒ってないわよ。こういう胸を持っている人間にとってあなたは救世主ですもの。だから、彼女が好意を持つものも無理はないし、あなたにはそれを否定してほしいとも思わないわ。だけど、それはそれとして嫉妬はしているの!! あとで可愛がらないと許さないんだから」

「シャーロット……」

「仲直りされたようで何よりです。ちなみにですが、私も嫉妬していますからね。一緒にかわいがってくれないと拗ねちゃいますからね」

「おお、さすがは救世主さまですぅ。モテモテですね」



 なんか思っていたのと違って4Pフラグがたった……やはり巨乳にとっては生きにくい世界だからかみんな仲良くといった考えが強いようだ。

 だからこそ、俺は彼女たちを幸せにしようと誓う。



「そういえば救世主様とシャーロットさんが婚約者なのはわかったんですが、こちらのメイドさんはなんなんですぅ?」

「ああ、彼女は俺の専属メイドのシグレだ。そして……婚約者でもある」

「えへへ、なんか改めてそう言われると照れますね」



 シグレもまたぎゅーっと身を寄せてくるものだから、シャーロットとあわせておっぱいサンドにはさまれてしまいどんどん下半身が元気になってしまう。



「一応私が身分が高いから第一夫人になるけれど、セインなら平等に可愛がってくれるはずよ。だから、あなたも安心していいわ」

「ありがとうございますぅー。あ、でも王女よりも女王の方が身分は上なので私が第一夫人ってことでしょうかぁ?」

「な……」


 こわいこわいこわい。シャーロットがすごい目でこっちを見ているんだけど……

 ナタリアさんのその一言で場の空気が凍るし、俺の股間も縮こまる。いや、確かに正論ではあるけど、そもそもサキュバスは結婚とか制度あるんだろうか?



「冗談ですぅー、だからそんな殺気に満ちた目で見ないでほしいですぅー。私たちサキュバスはただ、精力が欲しいだけなので結婚とかはどうでもいいですぅ。そのかわり……救世主様とイチャイチャはさせてもらいますぅ」

「あ、ちょっと……」



 止める間もなく、下着が脱がされて、ナタリアに股間が握られてしまう。柔らかい手に握られて反応すると、両サイドにいる二人も反応する。



「さすがはサキュバスさんですね……すごい積極的です。私たちも負けてはいられませんね……」

「ええ、他の女には目をむけないようにしてやるんだから!!」

「いや、ちょっとこれから会議が……」



 シグレに捕まれた手が彼女の胸へと誘導されて、シャーロットに唇を蹂躙される。さすがにおかしくないだろうか? そう思っていると、ナタリアさんが計画通りとばかりにむかつくどや顔をした気がする。

 まさかこいつ……サキュバスの力でみんなをエッチな気分にさせたんじゃ……



 その後俺たちは無茶苦茶イチャイチャしたのだった。

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