第45話 使者
まさか使者ってリリスなのだろうか……さすがに敵対していたこともあってすこし気まずい。彼女の派閥のサキュバスを殺しているしね。
てか、人選おかしくない? ナタリアさんはともかくグラベルさんならそこらへん考えてくれると思ったのに……
「いったい何の用かな?」
「ちょっとね、話したいことがあるんだぁ♡ だから、部屋にいれてくれると……ひぃ!?」
「あなたは私たちと敵対しているサキュバスのリーダーだと聞いています。セイン様に害をなそうとするのならば命はないものと思ってください」
リリスがちゃっかり俺に無い胸を寄せようとするが、無表情に見つめているヒルダ姉さんに剣をのど元に突きつけられて悲鳴をあげる……が……
「すごぉい、お兄さんはこんなに強い部下を持っているんだね♡ ますますほれなおしちゃったぁ♡」
「え、なにこれ。こわい」
媚び媚びな声に思わず引いてしまうが、リリスは相変わらず体を寄せてくる上にさらっと股間に手を置いてきた。
「今まで生意気なことをいってごめんね♡ 今回のことでわかったの。女王様の言うことが正しかったんだって……だから、迷惑をかけた謝罪とー♪ お詫びに、お兄さんのイン〇を治してあげようかなって思ってきたんだ♡」
「確かに今の彼女からはかけらも殺意も敵意も感じられませんね」
「え、マジで……?」
ということは彼女は本心から俺に詫びようと思っているってことか……ピンチから救った結果いつのまにか俺はこのメスガキサキュバスをわからせてしまったらしい。
だが、その前に一つ言わなければいけないことがある。
「あのさ……俺は別にイン〇じゃないんだよ」
「え? でも、私にこんなに誘惑されて、勃起しないなんてイン〇以外考えられない……」
「なぜ、あなたがここにいるのですか?」
「あ、やば……」
信じられないという表情をしているリリスが振り向くと不機嫌そうな表情のナタリアさんが立っていた。
さすがにリリスがいるからか女王モードである。そして……
「セイン様はこの私が魅了したのです。だから、無駄ですよ。リリス」
むかつくどや顔をしながら、大きな胸を押し付けてくるものだから俺の息子が反射的に反応してしまう。
「そんな……器だけでなく、サキュバスとしても女王様に負けた……」
「うふふ、私が使者として同行することになったですぅー。物語の英雄がお姫様をエスコートするようにしてくれると嬉しいですぅ」
「え、女王が使者って大丈夫なのか?」
呆然とするリリスと耳元で図々しいことをつぶやくナタリアさん。助けを求めてヒルダ姉さんを見つめるが……
「うふふ、異性関係に関しては百戦錬磨のサキュバスすらも落とすとは……お姉ちゃんとして誇らしいですね」
なぜか満足げにうなづいているだけでたすけてくれないのだった。サキュバスたちの人選ってどうなってるんだよ……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます