第41話 ハイサキュバス

「いったい何を言ってるの? いくらサキュバスでも淫乱過ぎない?」

「違うんですぅぅ、私がハイサキュバスとしての力を使うのには精力が必要なんですぅぅぅ」



 ゴブリンとの戦わなければいけないという状況なのに胸をあらわにしているナタリアさんに迫られて困惑してしまう。



「とにかくここじゃまずい。こっちきて!!」

「きゃあ……なんだか英雄譚のお姫様みたいですぅー」



 とりあえずはアクセラレーションで身体能力をあげて、彼女をお姫様だっこして物陰へと運ぶ。ぎゅーっとだきついてくるものだから、下半身がさらに熱くなってしまう。

 どうでもいいけど上半身裸せまってくるお姫様はそうそういないと思う。



「私はですね、この胸のせいで異性を魅了できなかったので必要最低限の精力しか食べてないんですぅ。だから、あなたの精力をもらえれば真の力がつかえてこの危機も脱することができるんですぅ」

「でも……うおおお、ちょっと待って。色々運動しているからちょっと匂うから……」

「大丈夫です。くっさいチン〇でも私はかまわないですぅ」



 他人にくっさいとか言われるとちょっとむかつくな……。俺はズボンを脱がそうとしてくるナタリアさんから必死に股間をまもるべく彼女の肩をおさえる。



「それとも……こんな情けないサキュバスには精力をわかる気はおきませんかぁ?」



 上目づかいで見つめてくるその瞳はまるですがるようで……、行動こそふざけているものの彼女が本気だということがわかった。

 

 そうだよね……ここは彼女の国で……ずっと非難されていたのだろうけど、それでも守ろうとしたサキュバスが今襲われているのだ。必死にきまっている。

 だったら俺は……



「ナタリアさん……俺の精力を使ってくれ」

「わぁぁぁー、私で勃ってくれていますぅ。嬉しいですぅ」



 観念した俺がパンツごとズボンを脱がして興奮した下半身を晒すとナタリアさんはまるでご馳走を前にした子供のような純粋な笑顔をうかべて……



「うおおおお。なにこれやばい」

「んーーすっごいです。濃厚な勢力を感じるですぅぅぅ」



 そのまま手で触れると大切なものをあつかうように優しく撫でた後にいきなりしゃぶりついてきた。なにこれむっちゃ気持ちいいんだけど……


「んんーー!!」

「……♡」



 俺が思わず情けない声をあげるとナタリアさんはにやぁーっと殴りたくなるような笑顔を浮かべる。

 そして、その声によって敵に気づかれてしまった。



「ゴ、ゴブゴブ!?」



 俺たちを見つけたゴブリンがマジかよって顔でこちらを見つめている。その気持ちむっちゃわかるわ。戦場でフェ〇しているやつらいたらなんか怖いもん……

 俺が剣を構えようとした時にすぅーっと力が吸われる感覚に襲われると、ナタリアさんが満足そうな笑みを浮かべて顔をあげてゴブリンに対して手を差し出した。



「えへへ、見られるとはずかしいですぅ。でも、のぞきはだめですぅーー♡」

「ゴブゥゥゥゥーー!!」



 ナタリアさんの手から放たれた炎が一瞬にしてゴブリンを焼き尽くした。



「ハイサキュバスは通常のサキュバスの10倍ほど精力を魔力に変換するの能力が優れているんですぅ。それに……今の私には救世主様もいますぅぅぅ。もうこんなやつらには負けません」

「ちょっと一人で言ったら危ないって!!」



 どや顔のナタリアさんが物陰から出るのを慌てて追いかけるのだった。





「俺がとどめをさすからナタリアさんは魔法で援護を頼む」

「ゴブゴブ?」

「うっふっふ、ざまぁですぅーー」



 ひときわガタイの良いホブゴブリンが教会の柱を振り回して暴れていたが、ナタリアさんの氷によって即座に凍てつき、俺はそのまま隙だらけの心臓を剣で貫く。



「ああ、さすがは女王様!!」

「あの強敵をあんなに一瞬で……」

「皆さん、ここは私と救世主様に任せて避難してください」



 周りのサキュバスに気づいたナタリアさんが威厳の籠った雰囲気を保とうとするが、よっぽど嬉しいのか尻尾が可愛らしくぴくぴくしている。

 そして、俺は一つの違和感に気づく。このゴブリン……何者かに操られている。


 状態異常回復を使えるようになったからか相手の異常には気付きやすくなっているようだ。



「く、なんで私の魅了が効かないのかなぁーーー」


 そんなとき遠くから聞き覚えのある悲鳴が聞こえてきて、ナタリアさんと俺は顔を見合わせる。



「女王様……図々しいのはわかっています。ですが、リリスを助けては頂けないでしょうか?」



 恐る恐るといった感じのサキュバスにナタリアさんは……



「もちろんです。私にとって彼女もまた守るべき存在ですから。力を貸していただけますか? 救世主様」

「ああ、もちろんだよ。まだ勝負も終わってないしね」



 俺が頷くと彼女はほっとしたように微笑む。威厳こそたもっているものの不安なのだろう。彼女のしっぽが俺の足にしがみついている。

 ちゃんと手伝うから、離してほしいな







カクヨムってどこまでエッチな描写は大丈夫なんだろう。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る