21話 謁見の後で

「国王陛下にご挨拶を申し上げます」

「うむ」

「わたくし、シエルバ伯爵家に嫁いで参りましたメディウム男爵家の娘、リリアージュと申します。よろしくお願いいたします」

 自己紹介がまだだったリリアージュはソファーの横に立ち、カーテシーをして王様に挨拶をした。

 心配そうな顔でリリアージュを見ていたエクウスに

「エクウス。今までとは少し違うようだね」

 と、エクウスの方を見ながら王様は微笑みながら呟いた。


「シエルバ伯爵夫人座っていいよ。素敵な挨拶をありがとう」

「失礼いたします」

 リリアージュはほっとした顔で、エクウスの隣に座った。

「エクウス、伯爵夫人、結婚おめでとう。私からは夫婦仲良くとしか言いようがないね」

「ありがとうございます」


 王様の言葉にエクウスは微笑み答えていた。

 エクウスの顔を見た王様は、頷き安心したような顔をしていた。

 王様の後ろに控えていた従者が

「陛下。そろそろお時間が」

「そうか。気忙しいね。君たちはお茶を飲んでゆっくりしていきなさい。エクウス、忙しいのは分かるが、たまには顔を見せに来なさい。もちろん奥方も一緒にね」

 王様は微笑みながら応接室をあとにした。


 王様が退出した後、新しいお茶とデザートのセットが用意された。

 エクウスとリリアージュは王様の心遣いに感謝し、しばらく二人で歓談しお茶を楽しんだ。

 見たことのない美しいデザートやケーキは味もビックリするほど美味しかった。

 リリアージュはうっとりとした顔でデザートを楽しんでいた。嬉しそうな彼女の顔を見てエクウスは過度な緊張が解けたようで安心をした。


 エクウスはリリアージュに王家とシエルバ伯爵家の事をゆっくりと話始めた。

 エクウスの話によると彼の父と母、王様とご兄弟とは年令が近く、幼少期の頃から顔見知りであり、同じ時期に学園にも通っていたらしい。

 特に王様とシエルバ前伯爵は同学年であり、生徒会の活動も一緒にされていたようだった。


 王様とシエルバ伯爵の結婚も1年違いで、王太子とは1才違い、学園ではエクウスの先輩にあたる。父親同様に生徒会では王太子の補佐をされていたようだった。

「まぁ、生徒会長の補佐と言っても雑用だが···」


 ── コンコン。ノックの音がした。

「シエルバ伯爵様。王太子殿下がお見えです」

「えっ。お入りいただいて下さい」

 エクウスは王宮の使用人に返事をした。

 エクウスとリリアージュは扉まで行き、王太子を出迎えた。


「王太子殿下にご挨拶を申し上げます」

「エクウス。堅苦しい挨拶は苦手だよ」

 エクウスとリリアージュに向かって右手をひらひらさせ、

「王太子のラルフレットだ。シエルバ伯爵夫人、会えてよかったよ」

 ラルフレットは「まあ、座って」と言ってソファーに座り、エクウスとリリアージュを向かいに座らせた。



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