第42話 諸問題色々

 基地というか、国へやっとの思いで帰ってくる。

 途中から気になっていたが、管理棟が燃えている。


 あそこは、社長や会長、そして役員の居室。

 そして、上位の会議室。


 今ちょうど、居なくなった奴らへの懲罰と、減った人数の補填で、周囲に暮らしている、野良の人間を、奴隷として拘束して使おうと決めていたはずだ。


 我が社のように、実質奴隷ではなく、人権を奪った本物の奴隷。

 いくつかの会社ではそれを行い、労働力を確保しているらしい。


 管理棟の下には、避難をしてきたのか、上級の文官達がたむろをしていた。

「あのぉ、上階はどうなったんで?」

「上は、崩落と火事で近づけん」

 人の方をちらっと見て、少し鼻で笑う。

 だが一応教えてくれた。


 振り返り、仲間達に武器と弾薬の補充を指示する。

 何とか仲間達で、制圧をして、権力を奪う。


 そしてそれは成功したが、経営自体が上手く行かない。


「駄目だな」

 いま、抵抗勢力となっていた文官の頭を吹き飛ばした。

 取引は切られて、食料の輸入も途切れた。


 そして俺達は、盗賊となり周囲へ手を出すが、周辺一帯が知らないうちに日本になっていた。


 俺達を怖がり、逃げ回っていた奴らが、向こう側で笑っている。

 良いものを食っているようで、血色も良く。

 その男の横で睨んでいる女は、俺が使っていた奴だ。

「抱いている子供は……」

 聞こうとしたら、頭を吹き飛ばされ、意識が霧散する……


 その刹那。笑顔を浮かべた女の顔……

 そうか、あれはすべて、演技だったのか……

 あの。

「頭が真っ白になるくらい、突いて……」

 いや…… そうか、浸り混んで、嫌だと言うことを忘れるためか。そこまで嫌われていたのかぁ……



 そんな頃、宇宙を移動する船団。

 地球に飛来したとき、なぜか一隻の船から脱出ポッドが射出され地球に落ちる。


 それは、ヒマラヤ山脈の山中に墜落し、真っ黒な生き物が一匹這い出してくる。


 そう、本体とは別に活動をしていた闇。

 生き残り、地球にまでやって来たようだ。

 ただそいつは、随分力を失っているようで、獲物を探し始める。



「随分、植民地いや自治州が増えて、本気で、国政は専任の組織を作りましょう。我々県の首長なのに、地元に帰ることが出来ないのは良くないだろう」

 そう、懸案だったが、とうとう本格的に組織を作ることに決まった。


 その中には、当然のようにファジェーエヴァの住人も突っ込む。現在の地球で、最強の軍事力を持っているし、政治に明るい者達もいる。


 使わないのは勿体ない。


「それでは、新日本。国政議会を設置いたします」

 満場一致で、議決された。


 おもしろいのは、主の議会会場が船の中。

 何処でも会議が開くことができる。


 そして、保有する軍備と予算。

 その辺りが情報共有される。


 ファジェーエヴァがから持って来た物の価値を擦り合わせるのが、少し難しいがその内に何とかしよう。


 そして、散らばっている、州。当然だが、そこからも代表を選出して貰い、参加をしてもらう。


 現状で、五百人ほど。


 集まったついでに、今現状での問題を述べて貰い割り振りをする。


「現状の混乱の中で変革派が国を造っているのですが、周囲に対して、力で言うことを聞かそうとやって来ます。技術的な差があるので問題にはなっていませんが、排除できるなら排除したい」


「ギャング達が、国を造っている。そこには人権もなく逃げられない人達がいる」


 結構、混乱の中で問題があるようだ。

 実際州の中でも、日本という国の中に組み込まれたのはお年寄り連中の中に反発が多いようでもめているとも聞く。


「特にアメリカなどでは、日本は属国とか、有色人種がとか、色々とある様だ。どうする?」

「ファジェーエヴァ人を上に立たせるか?」

「あの事件の宣言通りにか?」

「そうだ」

「それも一つの手だな。だがそれはそれで、反発を招きそうだ」

「国を管理するのは、面倒だなぁ」


 すでに、神谷家の茶の間へ戻ってきている。


 そう最重要なことは、茶の間で決まる。


「やはり、州によってランクを決めるか」

「それを表に出すかは、別問題ですけどね」

 そう言ってお茶を飲むのは、行政官ユーディット。

 事務的な物は専門家という事で、最近呼ぶことが多い。


「きれい事だけでは、混乱が増すだけで、まとまりませんから」

「それもそうか」


 今現状、県の代表がいるため半数が日本人、ファジェーエヴァ人のコロニーが増えたので、それが残りの四分の一。

 反旗を翻させれば問題は無いが、地球側の州もドンドン増えている。

 今は、構成している住人に地獄から助けられたと言う意識があるため、反感は少ないが、これから先は、判らない。


「まあ、だましだまし、手探りでやるしか無い」


 とりあえず、議題に上がっていた問題をかたづけるため動き始めることにする。


「ギャング退治に行こうか」



 それは突然だった。

「話しがしたい。代表はいるのか?」

 町の周囲をトタンや板きれで囲った要塞。

 そこが、彼らの管理する国家。

 国名がヘル何とかという危ない名前。


 そして返事を待っていると、答えの代わりに鉛玉が飛んできた。

「そうか……」

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